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日本製鉄、製鉄所の機関車をローカル5Gで動かす

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞
基地局との電波の送受信状況を計測(日本製鉄の室蘭製鉄所)

日本製鉄は製鉄所の作業効率向上のためIT(情報技術)化を進める。構内で使うディーゼル機関車の運転などの作業、点検業務を遠隔管理できるようにする。室蘭製鉄所(北海道室蘭市)内で実証実験を開始。2021年夏には構内限定で使う「ローカル5G」も構築する。まず室蘭での導入を進め、その後、他の製鉄所にも広げていく計画だ。

日鉄と子会社でシステム開発を手掛ける日鉄ソリューションズは、室蘭製鉄所で8月からIT化の実証実験を始めた。鍵となる無線環境を整備するため、まずはローカル4Gを構築。構内に2つの無線基地局を設置した。ローカル4Gは大手通信キャリアでなくとも、免許を取得した企業などが特定の地区に限って無線を利用できる制度。高速通信規格の5Gについても同様で、20年末にローカル5Gの免許を申請し、21年夏をめどに5Gを活用した試験を始める計画だ。

実証実験の第1弾は、製鉄所の構内で使うディーゼル機関車の遠隔運転だ。製鉄所内には専用の線路があり、鋼材や半製品を運ぶ。10月から始めた実験では、車両や踏切に高精細な4Kカメラを取り付け、機関車の走行の映像を構内の基地局に送る。基地局にいる作業員が走行映像を見ながら遠隔運転する。鮮明で遅延のない映像送信ができているかを実験で確認している。

製鉄所内を走るディーゼル機関車の遠隔運転の実用化を目指す

5Gが導入されれば、大量のデータ通信が可能になるため、より高精細な映像を遅延なく送られるようになる。まずは4Gで実験を進め、5G導入の足がかりにする。

点検の遠隔化や工場作業の自動化も進める。5G導入後は、1つの基地局から100台以上の端末に同時接続できる「多数同時接続」システムの構築を目指す。このシステムにセンサーやカメラを接続して、遠隔操作を検証する。

室蘭で実験し実用化へ

日鉄には国内で6カ所の製鉄所がある。室蘭製鉄所は遮蔽物や冬季の積雪などの影響で、ほかの製鉄所に比べ通信環境が悪い。そうした環境でもローカル5Gが機能するかを確認するのも実験の目的だ。日鉄ソリューションズの松本泉エンタープライズ5G事業推進部長は「室蘭製鉄所で実証できれば、他拠点への導入も容易だ」と話す。

一連のIT化が実現すれば現場の省力化や業務を効率化できる。現場作業員の高齢化が進んでおり、担い手不足の解消につなげる考えだ。

日鉄の20年4~9月期の連結最終損益は1911億円の赤字(前年同期は387億円の黒字)だった。業績改善に向けた構造改革に乗り出しており、20年度で2500億円の固定費削減を目標に掲げる。いち早い収益構造の構築のためにも、製鉄所運営のIT化によるコスト削減が急務だ。

(企業報道部 永森拓馬)

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