ブラジル・サンパウロ、1月に中国製ワクチン接種へ
【サンパウロ=外山尚之】ブラジル・サンパウロ州は7日、中国製の新型コロナウイルス向けワクチンの接種を2021年1月に始めると発表した。治験が終了していないため連邦政府は承認していないが、感染拡大が止まらない中、新興国では中国製ワクチンを求める声が相次いでいる。

ドリア州知事は記者会見で「1月25日に我々は命を守ることを始める」と述べ、中国の製薬会社、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチン接種を開始すると発表した。州政府の発表したスケジュールでは、医療従事者や先住民、高齢者に段階的に接種する。第1弾として900万人が対象となっている。
ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)はまだ中国製のワクチンを承認しておらず、スケジュール通りに進むかは不透明だ。ドリア氏は「政府が我々の側にくるなら歓迎する」と述べるものの、ドリア氏と政治的に対立するボルソナロ大統領はこれまで中国製ワクチンに否定的な見解を示していた。
米ファイザーや英アストラゼネカなどのワクチンをいち早く確保した先進国に比べ、新興国では人口に対して十分なワクチンが準備できていない。中国やロシアはこうした国や地域にワクチン外交を仕掛けている。