英空母、日本近海に派遣へ 香港問題で中国けん制 - 日本経済新聞
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英空母、日本近海に派遣へ 香港問題で中国けん制

英海軍が、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群を沖縄県などの南西諸島周辺を含む西太平洋に向けて来年初めにも派遣し、長期滞在させることが5日分かった。在日米軍の支援を受けるとみられる。三菱重工業の小牧南工場(愛知県)で艦載のF35Bステルス戦闘機を整備する構想も浮上している。複数の日本政府関係者が明らかにした。

    【詳報】

日本は、世界有数の海軍力がある英国と連携を深め、海洋進出を強める中国に対抗し秩序維持の姿勢を打ち出す狙いだ。西太平洋で日本と同盟関係にある米軍や周辺国以外の空母が継続的に活動するのは極めて異例。中国の南シナ海での領有権主張に加え、香港の民主派弾圧に対する英政府の強い懸念が背景にある。露骨な圧力強化だとして中国の反発は必至だ。

関係者によると、クイーン・エリザベスや打撃群の艦艇、航空機は、自衛隊や米軍と合同演習を実施する見通し。F35は米ロッキード・マーチン製で、三菱重工の小牧南工場はアジア太平洋地域のF35の整備拠点となっている。数年に1度の定期点検など、本格的なメンテナンスが可能で、英軍機の受け入れが可能か調整を進めている。空母をはじめとする艦隊が日本周辺に到着する時期は未定だ。

英軍は、朝鮮戦争(1950~53年)の国連決議に基づき定められた国連軍地位協定により横須賀(神奈川)、佐世保(長崎)、ホワイトビーチ(沖縄)などの在日米軍施設・区域で補給を受けられる。海上自衛隊は、中国への過度な刺激を避けるため、積極的な後方支援に慎重なもようだ。

英国のウィリアムソン国防相(当時)は昨年2月、クイーン・エリザベスの太平洋派遣を表明。英政府は日本など関係国と協議を進めていた。今年7月には、英紙が「極東への派遣計画が進んでいる」と報道した。

海自トップの山村浩海上幕僚長は昨年11月、米国滞在中のクイーン・エリザベス艦上で米英両海軍の制服組トップと会談し、中国を念頭に協力関係を深めると確認した。

クイーン・エリザベスは2017年に就役した英海軍史上最大級の艦艇で排水量6万5千トン、全長280メートル。17年12月には、小野寺五典防衛相(当時)が視察。海自護衛艦「いずも」との共同訓練を提案した。

〔共同〕

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