東レ、9カ月ぶり高値 EV向け材料に注目
銘柄診断
4日の東京株式市場で東レ株が4日続伸した。前日比23円20銭(4%)高の630円80銭と、9カ月ぶりの高値で取引を終えた。経済産業省が2020年代後半、自動車に温暖化ガスの排出枠取引制度を導入する検討に入ったと伝わり、電気自動車(EV)関連銘柄に買いが集中。東レも次世代電池向け絶縁膜やコンデンサー用フィルムを手掛けており、機関投資家を中心に買いが入った。

日経平均株価が小幅安となるなか逆行高となった。時価総額(終値ベース)も9カ月ぶりに1兆円台を回復し、売買代金は前日比1.3倍の80億円だった。
東レは車の電動化に必要なコンデンサー素材用の合成樹脂フィルムや、次世代リチウムイオン電池用の絶縁膜といったEV関連製品を持つ。20年度上期は車の需要減に苦しんだが、積極的な能力増強を進める。
東レ株は2~3月の急落後も、航空需要減で機体に使う炭素繊維複合材料の不振が響き、低迷していた。11月上旬以降は好調な半導体関連材料や、自動車向け部材の復調などを追い風に上向きつつある。
ただ、市場の注目が高い炭素繊維は航空需要の低迷で2~3年は振るわないとの見方が強い。SBI証券の沢砥正美氏は、本格的な株価回復には「繊維製品やEV関連など機能化成品でどれだけ収益を伸ばせるかがカギだ」とみていた。
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