カネミ油症、次世代救済を 被害者らが厚労省に要望

西日本一帯で1968年に起きた食品公害「カネミ油症」を巡り、被害者団体と支援団体が4日までに、子や孫ら次世代にも影響が出ているとして、一定の症状のある人たちの救済を求める要望書を厚生労働省に提出した。
カネミ油症を巡っては、2012年に被害者救済法が成立。国が認定患者らの健康実態調査を実施し、協力した人に支援金などが支給される仕組みだ。また68年時点の同居家族で、一定の症状のある人も対象。今回の要望は次世代について、同居家族と同様の扱いをするよう求めた。
支援団体「カネミ油症被害者支援センター」は被害者団体「カネミ油症被害者全国連絡会」の協力を得て実施した次世代のアンケート結果も厚労省に提出した。
センターによると、対象者は69年以降に生まれた、子どもや孫49人で平均年齢37.6歳。当事者が実際に回答したのは9人で、残りは親らが聞き取った。偏見差別などを恐れ、親が事実を伝えていない場合もあるためという。
カネミ油症の特徴は腰痛や肩こり、倦怠(けんたい)感など非特異的症状が複数にまたがる点にあるが、この点で一般成人よりも症状を訴える人の割合が高く、認定患者の症状ともよく似た結果が得られたとしている。
厚労省によると、今年3月時点の累計認定患者数は2345人。ダイオキシン類の血中濃度が基準を超えるなどすれば次世代でも認定は可能で、その数は少なくとも50人以上に上る。
センターなどは発生から半世紀以上経過し、血中濃度が薄まるなどしており、認定のハードルが高すぎるとして症状による救済を要望。国に対し、次世代に特化した実態調査も求めている。〔共同〕