ダイムラー、監査役会会長に元VW社長
【フランクフルト=深尾幸生】独ダイムラーは3日、監査役会会長に元独フォルクスワーゲン(VW)社長のベルント・ピシェツリーダー氏(72)を2021年3月31日付で起用すると発表した。監査役会は取締役会の人事権を握り重要事項を承認する独企業の最高意思決定機関だ。自動車業界の知見が豊富な同氏を会長に据え、電動化やデジタル化への移行を加速する。

マンフレッド・ビショッフ会長の任期満了にともない、監査役会のメンバーを務めるピシェツリーダー氏の昇格を株主総会に提案する。ピシェツリーダー氏は1993年から2000年まで独BMWの社長を務め、VWの中興の祖であるフェルディナント・ピエヒ氏に請われ、02年にVW社長に就任した。06年にピエヒ氏に事実上解任された。
競合する企業間の異動が珍しくないドイツでも、自動車大手3社全ての取締役会、監査役会のトップを経験するのは異例だ。
ダイムラーの監査役会会長には19年に社長を退任したディーター・ツェッチェ氏の就任が内定していた。だがツェッチェ氏のとった拡大路線が退任後の業績低迷の原因になったとして責任を問われたことなどで、ツェッチェ氏が就任を辞退していた。