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21年春季交渉 金属労協、雇用維持に軸足

ベア要求「3千円以上」も問われる求心力

自動車や電機などの労働組合が加盟する金属労協は3日、2021年春の春季労使交渉で月3千円以上のベースアップ(ベア)を要求する方針を決めた。もっとも高倉明議長は同日、新型コロナウイルスによる企業業績の悪化をうけ「(同じ)賃上げ幅での共闘は意図していない」とも強調した。ベアの旗印のもとで足並みをそろえた交渉スタイルからの転換で、春季交渉への求心力が問われる。

2021年春季労使交渉は賃上げ要求もばらつきそうだ(会社側の回答を書き込む金属労協の職員、20年3月)

賃上げの流れを続けるために掲げた8年連続のベア要求も、今回は意味合いが異なる。金属労協に加盟する自動車や造船重機などの5つの産別労組のなかにはコロナ禍の打撃を受ける業種も多い。浅沼弘一事務局長は「産別の事情を踏まえ、産別主導で議論してほしい」と述べ、ベア要求の最終判断は各産別労組に委ねる姿勢を鮮明にした。

会社側に求める際の優先順位も変えた。金属労協はここ数年は賃上げを焦点としてきたが、21年交渉ではまず雇用維持を改めて確認する。そのうえでベアや企業規模ごとに望ましい賃金モデルなどを示し、賃金の底上げや格差是正に取り組む。「雇用が第1、これがあって初めて次のステップに進める」(浅沼事務局長)

要求作りを本格化する企業労組にも前回並みのベア要求に消極的なところも少なくない。製造業の労使交渉への影響が大きいトヨタ自動車の労組からも慎重な意見が出ており「要求決定には例年以上に時間がかかりそう」(トヨタ自動車労働組合)という。

自動車業界ではトヨタが21年3月期に1兆3千億円の連結営業利益を見込む一方、最終赤字予想の会社もある。ある自動車労組からは「業績の落ち込みを考えると、前回並みの要求は難しい」との声も聞かれる。

自動車だけではない。総合重工大手の組合幹部は「加盟する基幹労連が掲げる3000円以上を目指すが、実情は厳しい」と語る。

難しい判断を迫られているのは、製造業以外も同様だ。流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンも「2%までの幅を目標」に賃上げを求める。「幅」という文言を盛り込んだのは12年の結成以来初めて。「業種ごとに業績の好調と不調の差が大きい」(幹部)なか、厳しいアパレルや外食などの業界に配慮した格好だ。

春季交渉では14年に、リーマン・ショック後のデフレから脱却を掲げる政府が交渉を後押しする「官製春闘」がスタート。トヨタもベアを実施した。ただ足元では「米中摩擦などにコロナの影響が加わり、基本給を上げることは難しそうだ」と日本総合研究所の山田久副理事長も指摘する。有力企業が集まる経団連も春季交渉に向け、業種横並びや一律の賃上げ検討は現実的ではないとする方針を固めた。

業種や企業ごとの業績格差を鮮明にしたコロナ下での春季交渉は大きな転換点となる可能性がある。

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