神戸に世界初の液化水素荷役施設 川重が納入

川崎重工業は3日、海外から運搬船で運んできた液化水素を陸上に受け入れるための荷役基地を神戸空港島(神戸市)に納入したと発表した。世界初の施設で、2020年度中に始まる液化水素の海上輸送の実証試験に利用する。日本が50年に温暖化ガス排出実質ゼロを目指す上で水素の活用は不可欠とされ、供給網を担う荷役基地の運用ノウハウを蓄積する。
「ハイタッチ神戸」はマイナス253度の極低温で液化した水素を貯蔵するタンクと、液化水素を船から陸上に移送する設備などで構成。水素貯蔵タンクの容量は2250立方メートルと国内最大で、川重がロケット燃料用の液化水素タンクの建造や運用で培ったノウハウを生かした。
川重や岩谷産業、丸紅などが参加する共同事業体が水素の国際供給網の構築に向けた実証事業に取り組んでおり、オーストラリアから神戸に専用船で液化水素を輸送する実験が20年度中に始まる。世界初となる専用運搬船も川重が神戸工場(神戸市)で建造した。
実証事業を通じて液化水素を安全かつ効率的に輸送するのに必要な技術やノウハウを確立し、水素社会の到来に備える。川重は今後、商業用のより大型のタンクの開発などに取り組む。