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日鉄とNEC、設備異常予測のAIシステム構築で連携

まずは君津地区の熱延工場でAIを使ったシステム運用に乗り出す(千葉県君津市)

日本製鉄NECは3日、製鉄所での設備異常を予測するシステムの構築に向けて連携を始めたと発表した。NECの人工知能(AI)を活用し、2千種類以上のデータをリアルタイムで分析し、異常発生の未然防止などにつなげる。JFEスチールなど競合も、製造現場でのデジタル導入を加速させるなか、日鉄はまず千葉県の拠点で長期の試験運用に乗り出す。

2021年1月から東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)の熱延工場で、6カ月~1年間の長期間にわたる試験運用を始める。事前に、過去のデータを用いて異常を予知する実証試験を10日間実施した。効果が確認できたため、リアルタイムのデータを使った運用に踏み切る。

構内に設置した500個のセンサーなどから集めた、温度や圧力など2千種類以上のデータを利用する。100ミリ秒ごとに収集したデータをAIが学習して、稼働する設備の最適な状態を導き出す。最適な状態から外れると、AIが検知して知らせる。作業員が確認、点検をして異常の発生を未然に防ぐ仕組みだ。君津地区での試験運用で効果を確認した後、国内の他の製鉄所にも順次、導入していく考えだ。

日本の鉄鋼大手と、宝武鋼鉄集団をはじめとする中国勢や、韓国のポスコなどとの競争は厳しさを増している。海外勢は最新鋭の設備を導入することでコスト、技術の両面で強みを発揮している。一方、国内の製鉄所の生産設備は、多くが稼働開始から40年を超えている。

老朽化が進むなか、設備トラブルのリスクが高まっている。巨大な製鉄所での設備異常の発生は業績への影響も大きい。例えば、基幹設備の高炉の場合、トラブルが発生すると数十億円規模の損失につながるとされる。こうした背景も踏まえ、日本勢は競争力の強化に向けて製造現場へのデジタル技術の導入を加速させている。

JFEの東日本製鉄所の千葉地区(千葉市)では今春、次世代通信規格「5G」を活用した新システムが稼働した。鋼材加工を担う熱延工場に、高精細な「4K」映像を撮影できるカメラとKDDIの基地局を設置し、生産現場の様子を分析している。将来は映像などを基に鋼材の品質判定などを手掛けることも視野に入れる。

神戸製鋼所も8月から、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)の「第2高炉」の操業にAIを活用している。高炉内で生じる反応熱の数値などから、5時間先の溶けた鉄の温度を高精度で予測できるシステムを開発した。

同社は予測結果に基づき高炉の操業を効率化することでコスト競争力を強化する考えだ。20年度中に、同製鉄所にある別の高炉1基にもAIを導入する計画だ。

(湯前宗太郎)

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