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日中韓首脳会談、年内開催見送り コロナ対策優先

【イブニングスクープ】

対面で集まる環境が整わない

日中韓3カ国は年内の首脳会談開催を見送る。元徴用工問題を巡る日韓の対立が続き、対面で集まる環境も整わないためだ。議長国の韓国は年明け以降の早期開催を働きかける。日本は日本企業の資産現金化の回避が保証されなければ、菅義偉首相の訪韓は困難との立場をとる。

日中韓首脳会談は3カ国が持ち回りで開く。今回の議長を務める韓国は年内開催を日中両国に呼びかけてきた。現状は韓国側から具体的な日程や議題の提示はなく、日本政府高官は「年内開催はもう無理だ」と語る。

首相は年内の海外訪問は見送る方向だ。9月の就任後、10月のベトナム、インドネシアのみの渡航で年内日程を終える。

通常11月から12月は外交日程が集中する時期だ。安倍晋三前首相は昨年11月にタイでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席し、12月下旬には日中韓首脳会談のために中国に足を延ばした。

2015年12月にインド、16年12月は米ハワイ州を個別に訪れた。11~12月に首相が海外に行かなかったのは過去10年間一度もない。

今年は新型コロナウイルスの影響でアジア太平洋経済協力会議(APEC)や20カ国・地域(G20)首脳会議などの国際会議が軒並みオンラインでの開催になった。加えて11月以降、新型コロナの感染が再拡大したことも踏まえ国内の感染症対策を優先する。

文在寅(ムン・ジェイン)政権には日中韓首脳会談の年内開催で日本との関係改善を打ち出し、周辺外交の行き詰まりを打開する意図があった。一方で、日本は元徴用工問題を巡り日本企業の資産現金化の手続きが進む状況での開催に難色を示してきた。

9日には日本製鉄の訴訟、30日には三菱重工業訴訟でそれぞれ資産差し押さえの関連書類が企業側に届いたとみなす公示送達の効力が生まれる。現金化は「極めて深刻な状況を招く」と訴え韓国側が解決策を提示するよう繰り返し求めてきた。

韓国は関係改善に向け11月に要人が相次ぎ日本を訪れ秋波を送った。情報機関トップの朴智元(パク・チウォン)国家情報院長は首相に日韓首脳の「共同宣言」を持ちかけた。韓日議連の金振杓(キム・ジンピョ)会長も首相に会い、日中韓首脳会談の年内開催に合わせた訪韓を要請した。

外交ルートでも水面下で打開を探った。日本政府側は「元徴用工問題で納得できる解決策は示されなかった」と受け止め、膠着状態が続いている。韓国は「年内」という一つの目安に向けて動いてきただけに、改善に向けた推進力が乏しくなる懸念はある。

新型コロナも文政権にとって首脳外交の優先順位が下がる一因になっている。韓国国内では新型コロナの感染者が連日500人を超え、感染の第3波に見舞われている。

韓国は年明け以降、できるだけ早い時期の実現を目指す。

開催にこだわるのは、米国の政権交代で朝鮮半島情勢が不透明となる状況での3カ国首脳会談は外交成果を強調する機会となるためだ。

文政権には来年夏の東京五輪・パラリンピックを契機に北朝鮮と対話する雰囲気を醸成したいとの思惑もある。そのために日本との協力が不可欠だ。文大統領と首相のトップ会談で和解を演出したいという発想がある。

年が明けても日韓関係は厳しい局面が続く。韓国の元従軍慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた2件の訴訟も12月と来年1月にそれぞれ判決を迎える。判決次第ではさらなる対立を招く可能性がある。

日韓両国の政治日程をにらみながらの展開にもなる。韓国は4月にソウル、釜山という二大都市での市長選がある。22年3月の大統領選まで1年を切る局面で、文政権も重視する。

日本は夏に東京五輪、9月に自民党総裁選を控え、10月の衆院議員の任期満了までに衆院選がある。双方の世論を見極めながら開催時期を探る。

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