豪カンタス、コロナ前から6割減収 21年6月期見通し
【シドニー=松本史】オーストラリアの航空最大手カンタス航空は3日、2021年6月期の売上高が新型コロナウイルスの感染拡大前だった19年6月期に比べて110億豪ドル(約8500億円)減るとの見通しを明らかにした。減収幅は約6割となる。新型コロナによる運航停止などが当面響くとみている。

21年6月期の最終損益は赤字を見込む。20年6月期も19億6千万豪ドルの赤字だった。
同日電話会見したアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は「海外との往来は少なくとも21年7月まで事実上停止したままだろう」と述べ、国際線の運航停止が続くとの見通しを示した。カンタスの売上高に占める国際線の比率はコロナ前では約4割だった。
豪州は3月、新型コロナを受けて豪州人の出国と外国人の入国を原則として禁止した。これを受けカンタスも国際線のほぼ全便を運休している。
一方、豪州内では州をまたいだ移動規制が緩和されており、国内線の輸送能力は12月にコロナ前の68%、21年1~3月期には同80%近くまで回復するとした。国内線シェアは、現在の7割超の水準が当面「維持される見通し」(同社)だ。
カンタスは新型コロナを受けリストラを進めている。6月に6千人の削減を発表したほか、11月末には機内清掃や荷物管理を行う地上業務の外部委託を決め、削減数は計8500人となった。
ジョイス氏は会見でコロナワクチンについても言及した。安全で効果的なワクチンが普及すれば「我々の国際線サービス(の利用)には(接種が)必要条件になる」として、一部の例外を除き全ての国際線の乗客に対して接種を求める考えを示した。
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