安倍前首相の任意聴取要請 桜「前夜祭」巡り東京地検
公設秘書立件へ、規正法違反容疑で
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安倍晋三前首相側が開いた「桜を見る会」前夜祭を巡る収支が安倍氏の関連政治団体の政治資金収支報告書に記載されていないとされる問題で、東京地検特捜部が安倍氏本人の任意の事情聴取を同氏側に要請したことが3日、関係者の話で分かった。収支報告書の記載内容について説明を求めるとみられる。
特捜部は政治資金規正法違反(不記載)容疑を視野に、前夜祭を主催した政治団体の代表だった安倍氏の公設第1秘書の立件に向けて捜査している。
前夜祭は2013~19年に毎年、政治団体「安倍晋三後援会」が東京都内のホテルで主催し、地元・山口の支持者らが1人5千円の会費で参加。安倍氏側は15~19年に計約900万円を負担したが、同時期の安倍氏に関連する政治団体の収支報告書に記載はなかった。
後援会は安倍氏の公設第1秘書が代表を務め、16年までは会計責任者も兼務していた。公設第1秘書は特捜部の任意の事情聴取に、安倍氏側の費用負担を認めたうえで「(負担分は)収支報告書に記載する必要があると分かっていた」などと供述した。

一方、会場のホテルは安倍氏側の負担分について、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛てに領収書を発行していた。特捜部は費用負担の経緯や収支報告書の記載内容を確認するため、安倍氏本人からの事情聴取が必要と判断したとみられる。
この問題を巡っては、法曹関係者らが政治資金規正法違反と公職選挙法違反(寄付行為)の疑いがあるとして東京地検に告発状を提出した。特捜部は公選法違反罪の適用は難しいとみているもようだ。