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J1清水などスポーツ界 グッズ強化、機動的に展開

ファナティクス・ジャパンはグッズ店の運営や商品企画・製造を手掛ける(リーグ優勝を果たしてにぎわうソフトバンクのグッズショップ)=同社提供

サッカーJ1の清水がファン向けグッズの販売を強化する。1日、スポーツライセンス商品の製造・販売を手掛ける米ファナティクス(フロリダ州)の日本法人、ファナティクス・ジャパン(東京・港)と戦略的パートナーシップ契約を結んだと発表した。ファンのニーズを捉えた商品を迅速に展開することで満足度を上げ、入場料やスポンサー収入に並ぶ収益の柱であるグッズ売り上げを伸ばしたい考えだ。

ファナティクス・ジャパンと協業

契約期間は来季から10年間。両社は共同で商品を企画し、ファナティクス・ジャパンがグッズ店やオンラインストアの運営を担う。清水は試合当日に会場のテントでグッズを販売しているが商品数が限られ、オンラインストアの充実も含めて課題だった。プロ野球ロッテの球団社長から今年サッカー界に転身した清水の山室晋也社長は「プロ野球に比べてグッズを幅広く提供する点で開拓の余地があった」と語る。

ファナティクスはアパレルを中心にファン向けグッズに特化し、商品企画から製造、販売までを手掛けて成長してきた。米大リーグ機構(MLB)や米プロフットボールリーグ(NFL)など米国のプロスポーツのほか、サッカーではマンチェスター・ユナイテッドやパリ・サンジェルマンなどと手を組んでいる。

特徴的なのがMLBとの関係。MLBは2020年からナイキとサプライヤー契約を結び、全30球団の公式ユニホームの提供を受けているが、ここにファナティクスも参画。ファン向けライセンス商品の製造や販売を担い、ナイキのロゴが入った商品も同社で製造している。ナイキは露出することでブランド価値の向上がかない、ファナティクスはファン向けに注力する。両社の間ですみ分けができており、パートナー関係にあるといえる。

18年に日本法人を設立して以来、国内でもプロ野球球団やバスケットボール男子Bリーグのチームと契約して存在感を高めている。9月にはプロ野球日本ハムと12年間の戦略的パートナーシップ契約を結び、23年に開業予定の新球場での店舗運営に設計段階から参画すると発表した。

ファナティクスが強みとしているのが「ホットマーケット」といわれる分野だ。優勝や選手の記録達成、入団、引退など節目を迎えてグッズの需要が高まることを指し、機動的にグッズを企画して販売する。昨今、優勝記念Tシャツなどはよく見られるが、発送に数週間から数カ月かかってはファンの熱も冷めてしまう。過剰在庫を抱えるリスクがあるため受注生産になる場合が多いが、同社は短期間でファンのもとに商品を届ける。そのスピード感は他社と一線を画す。

パートナーシップ契約を結んだ清水の山室社長(右)とファナティクス・ジャパンの川名正憲代表=(C)S-PULSE

清水も従来はネットで注文してから届くまでに5~7日程度かかっていたという。ファナティクスなら最短で翌日には届く。それを可能にするのは企画から製造、物流まで、つまり「川上から川下まで」全てを同社が担っているからだ。

例えばソフトバンクとは19年3月から10年契約を結んでいるが、今年3年ぶりにパ・リーグを制覇したタイミングで優勝関連グッズを展開。公式オンラインストアでの最初の1週間の売り上げは前回優勝した17年より86%増加した。アイテム数を約1.5倍の467種類に増やしてファンの購買意欲を喚起。4年連続日本シリーズ制覇後も記念商品のネット売り上げが過去最高で推移した。ホークスブランド商品の独占販売権を持ち、店舗や電子商取引(EC)サイトを運営するメリットが生かされている。

グッズがすぐ手に入る高揚感が重要

プロ野球では育成を含めて全選手のレプリカユニホームを用意したり、その日活躍した選手のTシャツを販売したりするなど品ぞろえも豊富。ファナティクス・ジャパンの川名正憲代表は「需要を予測するのではなく、需要が発生したときに短期でつかんでいくモデル。すぐ手に入る高揚感がライセンスビジネスでは重要だ」と話す。

山室社長もそうした最新のノウハウを吸収したい考えだ。サッカーどころの清水には生活の中にエスパルスが根付いている。「物販は今後育てていきたい分野。サービスを向上させることで、従来とは違うわくわくした購入体験ができるのではないか。カジュアルな層も取り込んでいきたい」

実店舗のリニューアルやECサイトの強化など、ファンやサポーターに飽きられないためには継続的な投資が必要だが、コロナ禍で経営環境は厳しい。今回の提携はその課題の解決にもつながりそうだ。

ファナティクス・ジャパンもこれまでプロ野球を中心に事業を展開してきたが、Jクラブでは初となる清水との提携を皮切りにマーケットを拡大させたいという。「外注、丸投げされるのではなく、クラブやチームは大事なパートナー。一体となって進めていきたい」と川名代表。「ファンファースト」を掲げつつ、リーグやチームのブランド価値にも貢献していく。そのモデルは国内のスポーツビジネス界で今後も注目されそうだ。

(渡辺岳史)

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