自販機でQRコード読み取り 中国・意鋭が専用端末
QRコード技術を手がける中国の北京意鋭新創科技(インスパイリー)は、飲料などの自動販売機に組み込む決済端末を開発した。自販機側がQRコードを読み取る方式のため、消費者が使いやすい。QRコード決済が浸透する中国で培った技術を生かし、世界有数の自販機市場である日本を開拓する。

開発した端末「PPS7700」は、機械側が消費者のスマートフォンのQRコードを読み取る「CPM」方式の決済システム。日本の自販機が標準装備する決済端末の取り付け口に容易に組み込める仕様とした。
日本の自販機でもQRコード決済は始まっているが、消費者がスマホで自販機に貼られたQRコードを読み取る「MPM」方式が多い。読み取り作業が面倒なうえ、QRコードが悪意で貼り替えられるリスクがある。
CPM方式は日本でも、コンビニエンスストアや飲食店で普及してきた。意鋭は「中国での経験を生かし、光線などの条件が悪い屋外でも安定してQRコードを読み取れるようにした」(王越・董事長)という。
意鋭は近く、中国安徽省蚌埠市で自社工場を稼働させる計画。一般に、自販機に組み込む決済端末の価格は1台10万~20万円だが、意鋭は新工場の量産効果で「約2分の1に抑える」(王氏)考え。受注活動を始めており、2021年通年で5万台の販売を目指す。
王氏は大学卒業後に来日し、IT(情報技術)企業で働いていた01年にQRコードの可能性に気づき、帰国して意鋭を創業した経緯がある。日本発祥のQRコード技術を中国で磨き、日本で普及させようとしている。