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コロナ克服へワクチン迅速承認 米英、月内に接種

(更新)
ファイザー製の新型コロナウイルスのワクチンはセ氏マイナス70度で保管する必要がある=ロイター

世界で猛威を振るう新型コロナウイルス禍は英当局が2日、ワクチン承認で予防接種の開始へ道を開いたことで転機を迎えた。通常は10年ほどかかる感染症のワクチン開発だが、今回は開発着手から1年足らずで実用化にこぎ着ける異例のスピード承認となった。経済再生を進め、コロナ克服へつなげるには、一刻も早いワクチンの大量供給網の構築と接種の普及が課題となる。

世界保健機関(WHO)の専門家は、ワクチン接種によって集団免疫を達成してコロナを克服するには、接種率が65~70%に達することが必要だと指摘する。

今回、英国に承認された米ファイザーと独ビオンテックは2021年末までに約13億回分(6.5億人分相当)を世界で製造する予定だ。同じく米欧などでの月内の接種開始に期待が高まる米モデルナも、21年に5億~10億回分(2.5億~5億人分相当)の生産を計画している。順調に進めば両ワクチンだけでも、21年末までに最低でも9億人に行き渡る。

ワクチンによる予防効果がどれだけ長続きするのかが依然として不明など懸念材料もあるが、接種の普及で早期の集団免疫を実現できれば、各国の経済再開の本格化につながる期待がある。

英国では7日にもワクチン接種が始まる見通しだ。ロンドン近郊の病院は接種用の部屋を確保するなどの準備を急ぐ。英政府は国民医療制度(NHS)を通じ、病院などに接種体制を整えるよう通達を出した。

実際に接種が始まっても当初はワクチンの供給量が限られるため、接種の優先順位をどうつけるかが、早期の感染克服へカギを握る。

英国では大学教授らでつくる独立委員会が(1)介護施設の入居者やスタッフ(2)80歳以上の高齢者や医療従事者(3)75歳以上(4)70歳以上、深刻な基礎疾患を持つ人など、といった順番で優先してワクチンを接種するように政府に提言した。

ファイザーとビオンテックのワクチンの場合、セ氏マイナス70度で保管する必要がある。ビオンテック幹部は2日のオンライン記者会見で「冷蔵庫(2~8度)では最長5日、冷蔵輸送(2~8度)では最長6時間」が使用限度だと説明した。

このため地方などの小規模な介護施設や病院などにも予防接種を行き渡らせるためには、ワクチンを素早く安定的に届ける供給網の整備が緊急課題となる。ロイター通信によると、航空貨物団体などの調査ではファイザーとビオンテックのワクチンの超低温輸送に対応できるのは全体の15%にとどまる。航空各社は液体窒素を用いた多層構造の冷蔵容器の導入などの検討を急ぐ。

米国でも12月中旬にも接種が始まる見通し。1日には米疾病対策センター(CDC)の有識者委員会が医療関係者や介護施設の居住者から接種する指針案を決めた。最終的にどの病院や施設にワクチンを届けるかは各州政府の判断だが、コロナ患者に直接触れる医師や看護師で、過去90日以内に感染歴がない人を優先するように提案した。

欧州連合(EU)加盟国の接種開始は、最も早い国の場合でも年末以降になりそうだ。フランスのマクロン大統領は「12月末か、1月はじめごろに接種を始められそうだ」と語る。カステックス仏首相は1日、高齢者施設の入居者が最初の接種対象となるとの見解を明らかにした。

11月30日に仏調査会社Ifopが発表した世論調査によると、仏国民の59%が接種を受けるつもりはないと答えた。接種拡大でコロナを克服するためには、ワクチンの信頼性をどう確保していくかも課題となりそうだ。

(ワシントン=鳳山太成、パリ=白石透冴、ロンドン=佐竹実)

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