仏スエズ、タイに再生プラ工場
【バンコク=岸本まりみ】仏スエズは2日、タイでプラスチックのリサイクル工場を開設したと発表した。包装などに使われた廃プラをパイプやポリ袋などに再生する。同社の再生プラ事業はこれまで欧州が拠点で、アジアでは初の工場となる。2030年までのロードマップを設けてプラごみ問題に取り組むタイ政府を後押しする。

タイ中部サムットプラカーン県に工場を開設した。延べ床面積は1万4千平方メートルで、投資額は非公表。フィルムや包装用途に使う低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を再生する。処理能力は年間3万トンで、タイ最大級という。
タイはポリエチレンテレフタレート(PET)世界最大手、インドラマ・ベンチャーズなどが拠点を置いている。仏スエズの東南アジアプロジェクト・ダイレクター、ジェローム・ル・ヴォン氏は「タイは世界有数のプラスチックの生産地である一方、年間200万トンの廃プラの4分の1ほどしかリサイクルされていない」と言及。「政府がプラごみ削減の目標を設け、議論が活発なこともタイを選んだ理由の1つ」と話した。
スエズは世界に9万人以上の従業員を抱える環境事業大手。19年に海洋プラ問題対策組織「廃棄プラスチックをなくす国際同盟(AEPW)」を創設した企業の1つでもあり、欧州を中心に再生プラ事業を展開する。19年には45万トンの廃プラを処理し、15万トンの再生プラを生産した。