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米ナスダック上場企業、女性・非白人取締役の登用義務に

【ニューヨーク=宮本岳則】米証券取引所ナスダックは1日、上場企業に対し、黒人など人種的マイノリティー(少数派)やLGBT(性的少数派)、女性の取締役登用を義務づける方針を明らかにした。不採用の理由を説明しない企業は上場廃止となる。格差問題の解決に向けて、役員や従業員の多様性を求める声が高まっていることに対応する。

ナスダックは同日、米証券取引委員会(SEC)に上場規則の変更を申請した。承認を得られれば、一定の移行期間を経てナスダック上場企業約3000社に適用される。米国の主要な証券取引所で取締役会の構成に多様性を義務づけるのは初めてだ。ナスダックはルール変更の理由について「直近の1年間に(格差是正を求める)社会正義運動を通じて、企業の取り組みに注目が集まっている」と説明する。

新規則案によると、まず上場企業は役員メンバーの多様性が外部から見えるような情報開示を求められる。さらに女性とマイノリティーから一人ずつ取締役を選任しなければならない。マイノリティーには黒人やヒスパニック(中南米)系など人種的少数派に加え、LGBTも含む。海外企業や中小企業の場合は、女性2人の登用でも認められる。登用できない理由を説明しない場合、上場廃止となる。

米上場企業の役員多様化に向けた取り組みは道半ばだ。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が米上場主要496社の役員構成を調べたところ、3割の企業は女性、マイノリティーの取締役が1人以下だった。人種的マイノリティーを新規に登用する企業は徐々に広がっているが、女性に比べると増え方は緩やかだ。

ナスダックが規則変更を決めた背景には社会的な要請がある。米国では新型コロナウイルスの感染拡大と、警察官による黒人暴行死事件で格差や差別が改めて浮き彫りになった。米大統領への当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は格差解消を最重要課題に挙げ、閣僚候補に女性や人種的マイノリティーを起用。問題解決に取り組む姿勢を強調する。一部の企業も多様性目標を設け始めた。

マネーの力で社会問題の解決を図る「ESG」投資の普及で、機関投資家も上場企業に対応を迫っている。世界最大の運用会社ブラックロックは投資先に対し、最低2人の女性取締役登用を求めているほか、選任にあたって人種的な多様性も考慮するよう提唱する。ニューヨーク市年金基金は主要企業に対し、役員クラスの人種分布を開示するよう要請した。多様性に欠ける企業に対し、対話を通じて是正を求める狙いがある。

米投資銀行大手ゴールドマン・サックスは1月、新規株式公開(IPO)支援サービスで、取締役会に女性が一人もいない場合、業務を引き受けないと表明した。米西部カリフォルニア州では9月末、州内の上場企業に対し人種的マイノリティーなどを取締役にすることを義務づける改正会社法が成立した。もはや米上場企業は役員の多様化問題を避けて通れなくなっている。

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