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こんなものも副業に 美文字、論文添削…ニーズ色々

現役時代からの「ちょい稼ぎ」のススメ

写真はイメージ=PIXTA

経験とスキルをお金に換える

定年後再雇用で給与水準が大幅ダウンしたり、年金暮らしになったりしても、月数万円のちょっとした稼ぎがあれば家計は随分と助かる。定年を迎えてからシニア向けの仕事を探すのもいいが、現役時代から副業として「ちょい稼ぎ」を始める方が今風でスマートだ。

では何をやるか。副業サイトを運営し、自身も多くの副業を経験してきた中野貴利人さんは「中高年が定年後を見据えて副業を始めるなら、技術・頭脳系がお薦め。副業マッチングサイトで個人のスキルの換金を考えたい」という。

例えば「ココナラ」というサイトでは、子育て相談やExcelの使い方など、普段の生活や趣味、仕事の延長のスキルを売ることができる。また「ストアカ」というサイトでは、スキルを教える有料オンライン講座を開設できる。

「教えたり相談に乗ったりする副業は、若い世代より知識・経験がある中高年にお勧め。『こんなスキルが?』と思うようなスキルも売れる」(中野さん)

ココナラによると、50代の登録者には、自分のスキルや営業力が市場で通用するのか、肩書なしでも商売できるかを試すために登録する「お試し起業」も多いという。行けるとなれば、定年後、再雇用ではなく独立を選ぶそうだ。

「副業を続けるコツは楽しむこと。時給単価や効率的に稼げるかよりも、興味や適性を軸に選んだ方が長く続けられるはず」(中野さん)。実際にココナラでスキルを売っている3人の事例を紹介しよう。

ケース1 現役時代の経験・資格を生かして退職後に稼ぐ

現役時代に人事の仕事をしていた西川明宏さんは、現在、フリーのキャリアコンサルタント。ココナラでビデオチャットによる60分の相談などを、社会人向けに6000円、大学生向けに3000円で販売して月額3万~6万円を稼いでいる。

メーカーに勤務していた西川さんは、もともとエンジニア。しかし40代で人事部へ異動。インターネットの普及に伴い採用などでネットを活用しようと、西川さんに白羽の矢が立ったためだ。それから10年以上、人事部に在籍した西川さん。定年後、契約社員として再雇用に応じる選択肢もあった。だが当時の制度では、給与が下がる上に通勤費が支給されないなど、再雇用で働くメリットをあまり感じられなかった。そして「会社から離れ、好きなことを仕事にしてみたかった」ことから、退職を選ぶことにした。

その好きなこととは「学生の就活支援」だ。人事部時代に最も楽しかった仕事は新卒採用。毎年、状況が変わる採用市場の中で、いかに工夫して新卒を採用するか。そして応募してきた学生たちと接することが何より楽しかったという。その経験から、定年後は学生の就活支援に関する仕事をしたいと思い始める。そのためには資格も必要と、退職直前には国家資格のキャリアコンサルタントを取得した。

退職後には集客のためにとブログも開設。ブログのタイトル画像や、新しい名刺を作るためにデザイン案などを探していたところ、ココナラにたどり着いた。サイトをチェックしているうちに様々なスキルが売られていることに気付き「自分も販売できるのでは」と思い、相談サービスを出品。こうして西川さんの「ちょい稼ぎ」が始まったという。

現在は人材紹介サービス会社経由で大学での仕事もある。ココナラと合わせた収入は、再雇用時の給与よりやや少なめの水準。だが「全く後悔していない」と西川さん。やりたかった仕事で収入を得る喜びが勝っていると話す。60代も半ばとなり、この先について考えているが、「70歳までは働き続けたい」と西川さん。だが徐々に体力の衰えも感じ、出勤が必要な仕事はどこまで続けられるか疑問に思うこともある。しかし「ネットを使ったビデオチャットでの仕事は自宅にいながらできますし、これはずっと続けるつもりです」。

ケース2 独学の美文字が代筆の仕事に

専業主婦の若山静湖さん(ユーザーネーム)がココナラで代筆サービスの販売を始めたのは2年半前。夫が亡くなり、遺族年金はあるものの、多少は自分で収入を得たいと思ったためだ。

「父が美しい文字を書く人で、幼い頃から、それをまねしていました」と若山さん。依頼者から伝えたい内容を聞き、文章を考え、美しい文字で手紙に仕上げる。最初は「代筆に需要があるのか」と思ったが、月に10万円ほどの売り上げがあったことも。若山さんの代筆は1回3000円。便箋3枚までが基本で、枚数が増えた場合などは追加料金が発生する仕組みだ。

依頼が続くのは、若山さんが依頼者の年代に応じて文字を書き分けるなど、柔軟に対応していることにある。独学で美文字を習得した若山さんには、決まったお手本となる文字はなくアレンジが自在。「依頼者の気持ちに沿い、その方になりきるためにも20代なら丸い文字で書くなど、臨機応変に対応しています」

ケース3 「月3万円」仕事を掛け持ち

現役時代、公務員として公文書作成や、作成の指導に当たってきたラズモネさん(ユーザーネーム)。現在、そのスキルを生かし文章添削などを行っている。依頼の中で最も多いのは、公務員採用試験を受けようとする人のエントリーシートや小論文の添削だ。依頼者から届いた文章の誤字や表記などに基本的な赤字を入れた後、ラズモネさんがリライト。その上で文章の構成を指導する丁寧な添削内容だ。料金は1回1000円が基本で、月3万円ほどの収入を得ている。

ラズモネさんが公務員を退職したのは10年近く前。当時、再雇用制度は始まったばかりで、応じられる人材は限られていた。また退職後は生まれ故郷である東北地方の町に住むことを希望。その土地には再就職先になりそうな企業は少なく、収入を得るための方策も考えなくてはならない。そんな時に発見したのがココナラ。最初は腕試しのつもりで登録したという。

定年後に得る収入についてラズモネさんが目指しているのが「月3万円稼げる仕事を幾つか持つこと」。実際に文章添削の他に、自らが作った竹炭の販売なども行い収入を得ている。「月3万円稼げる仕事を複数持てば、企業に勤めなくても生活できます」

(本間健司、佐藤由紀子)

[日経マネー2021年1月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年1月号 会社員でもつくれる!老後資金1億円

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/11/20)
価格 : 820円(税込み)

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