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レバノン組閣遅れ、経済立て直しの支援に黄信号

【ベイルート=木寺もも子】経済危機下にある中東の小国レバノンで、10月下旬に首相指名されたハリリ前首相による組閣が遅れている。宗派対立を解消して新政権を発足させ、構造改革のめどをつけなければ国際社会からの経済支援は届かない。市民生活は困窮を深めている。

家具店の在庫処分セールの看板には「レバノンを出ます」の文字(11月30日、ベイルート)

「毎日、食料品が値上げされている」。首都ベイルートのタクシー運転手は悲鳴を上げる。通貨レバノンポンドの対ドルレートは闇相場ができた1年前から5分の1に暴落した。銀行からは自由に預金を引き出せず、クレジットカードの限度額も日本円換算で月1万円程度に制限されているという。

隣国シリア内戦に伴う長期の経済低迷で、レバノンは3月にデフォルト(債務不履行)を宣言した。国外からの資金流入は停止し、金融や観光のほか目立った産業のない経済はまひした。8月にはベイルートで200人近くが死亡する大規模爆発が追い打ちをかけた。街には窓ガラスなどが破損したまま放置された建物が目立つ。

ディアブ首相は8月の爆発後に辞任する意向を表明した。その後、駐独大使だったアディブ氏が首相指名を受けたが組閣できずに断念した。10月に前首相のハリリ氏が首相指名を受けた。

ハリリ氏は非政治家の専門家集団による内閣で腐敗追放や公的セクター縮小などの改革への道筋をつけようとしているもようだ。ただ、18ある公認宗派が閣僚ポストや関連する利権を分け合う構造が定着しているレバノンでは、利害調整が難航する。政治空白は4カ月近くに及ぶ。

旧宗主国のフランスと国連は2日、オンラインでレバノン支援の国際会合を開く。当初は経済立て直しのための金融支援などを打ち出す会合を11月中に予定していたが、レバノンで新政権が発足しないため、非政府組織(NGO)などを対象とした人道支援に変更し、規模も小さくなりそうだ。

債権団との債務再編や国際通貨基金(IMF)からの支援を巡る交渉も「何も進展していない」(ビブロス銀行のナッシブ・ゴブリル・チーフエコノミスト)という。

国連によると、2019年に28%だった貧困層の割合は20年、倍増の55%になったと推計される。推定の失業率は3割を超え、8月の爆発以降新たに7万人以上が失業したもようだ。

足元では新型コロナウイルスの感染拡大も市民生活をむしばむ。人口約600万人の小国ながら1日の新規感染者は1000人を超える。11月中旬、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったが、厳しい経済を考慮し「(感染状況が)好転しないまま」(ハッサン公衆衛生相)30日に解除した。

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