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学生でも利用可能なiDeCoとつみたてNISA

積立王子への道(19)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

国が「貯金=善」の考え方を主導したんだ

日本では「預貯金は良い行為」という社会通念が形成され定着している。そのもとはどこにあるかといえば、第2次世界大戦後に経済活動を支える産業資金を銀行を介して集めるために、政府が銀行預金や郵便貯金を奨励したことにある。高度成長期を終えて成熟社会に転換した今でさえ、その行動文化が根付いたままに残っているんだ。

1000兆円もの預貯金が眠っている

個人の金融資産に占める預貯金比率を日米で比べると、日本では依然55%弱が現預金に集まっている一方、米国は13%にとどまる。お金に対する行動規範がまるで違うんだ。でも平成になって以降、もう30年以上も日本の預貯金は実質ゼロ金利が続いている。銀行に預けておいても一向にお金が増えないことは、もはや誰もが気付いていることだ。ならば日本国民が保有する1000兆円超の現預金をまっとうな長期投資マネーへとシフトさせて、新たな富を産み出すお金に変えられれば、日本の生活者も米国民の成功事例に倣って、将来に向けた資産形成が実現可能なはずだ。

iDeCoとNISA 2つの受け皿

そう得心した政府は、米国の確定拠出年金制度にあたる「イデコ」(iDeCo)の整備を本格的に始めると同時に、英国のISAという非課税制度を参考にして日本版ISA「NISA」(少額投資非課税制度)も導入した。最初NISAは非課税期間が5年で長期投資には中途半端な仕組みだったので、2018年には新たに「つみたてNISA」もスタートさせた。

「イデコ」の正式名称は個人型確定拠出年金だ。60歳になるまで途中の引き出しはできず、現行ではお金を積み立てられるのも60歳までと制約は厳しい。その代わりに税制上の優遇が厚いんだ。学生の君たちにはまだピンと来ないかもしれないが社会人になれば税制優遇の恩恵は大きい。毎年積み立てたお金からは税金が引かれない「所得控除」があり、運用益から普通なら引かれる20%の税金も免除される。いざ60歳以降に引き出すときにももう一回税優遇を受けられるんだ。

仕組みを使って長期積み立て投資を始めよう

一方「つみたてNISA」は20年にわたって運用益非課税の恩恵を受けられる枠組みで、積み立て投資でしか参加できないこだわりの仕組みだ。こちらは成人なら年齢に制約なく誰でも参加できて、資金が必要なときはいつでもキャッシュ化できるなど融通が効く。

2つの制度に共通の、運用利益のすべてに所得税が課されない特典が長期間使えるメリットは大きい。通常、投資信託の利益からは20%の源泉所得税が引かれるわけで、それが非課税ということは、逆にいえば実質的に利益が2割増になると考えても同じことだ。「イデコ」と「つみたてNISA」という制度として構築された仕組みにのっとって素直に行動すれば、自然と長期積み立て投資が実践できる優れもの制度なんだ。20歳以上なら学生でも利用可能だ。2人とも今すぐ参加してごらんよ。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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