31歳で会社員卒業 米国株で資金作って不動産投資
幸せアーリーリタイアへの道(下)

仕事がきつい、目指したのは転職ではなく経済的自立

日米株投資、不動産投資に加え、フードデリバリーやネット稼ぎも実践。さらには節約やポイ活にも取り組んで、31歳の若さで早期退職を果たしたいんべすさん。保有する投資用不動産の物件価格は総額1億円以上。7棟のアパートから月35万円の家賃収入を手にしている。
いんべすさんが投資を始めたのは大学生の時だ。最初にパナソニック株を買ったが、2週間で1割も減ったことに驚いて撤退。その後も低位株で短期売買を楽しんだものの、利益はあまり出なかった。
投資に真剣に取り組み始めたのは社会人になってからだ。理由は「新卒で入社した会社の仕事がきつく、すぐに辞めたいと思った」から。もともと、投資について興味があったことに加え、投資家ロバート・キヨサキ著の『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んだこともあり、転職ではなく経済的な自立を目指すことにした。
すぐに2000万円台の中古の投資用ワンルームマンションを探しだし、ローンを組んで買おうとするも、当時はまだ社会人1年目。しかも手元資金はほぼゼロ。さすがに銀行も相手にしてくれず、まずは自己資金づくりに励むことにした。
この頃のいんべすさんは会社の寮暮らし。寮費3万円を天引きされた手取り給与17万円のうち12万円で投資信託を購入。個別株投資も始め、23歳の時には資産が900万円まで増えた。が、すぐに株価下落で600万円まで減らしてしまう。23歳のいんべすさんにとって300万円の利益が吹き飛んだのは大ショック。一方、投資信託も思ったようには増えない。
何か良い方法はないかと考えていた時、米国株投資に出合う。これだと思ったいんべすさんは、手持ちの投資信託を全て売却、その資金で米株投資を始めた。
同じ頃、いんべすさんは結婚、夫婦合算の世帯年収は約700万円になる。結婚に際しては夫婦で話し合い、「マイホーム、クルマは持たない。保険は解約。クレジットカード払いでポイントを貯める」といった節約ルールも定めた。
世帯年収が増え、節約や運用も順調だったことから資産は順調に増加、27歳になる頃には2000万円を突破した。
株式投資では時間がかかりすぎる、目を向けたのが不動産投資

着実に資産を増やしていたある日、いんべすさんはExcelを使ってセミリタイアまでの所要年数を試算してみた。結果は15年後。「そんなに働くのは無理」とショックを受けたいんべすさんは、いったんは棚上げしていた不動産投資を再始動することにした。目標は生活費支出を賄える家賃収入、キャッシュフローづくりだ。
年収が増えたこともあり、今度は銀行融資もクリア。まもなく5700万円の木造アパートをフルローンで手に入れた。ただ、築浅だったため価格が高く、家賃収入からローン返済分や諸費用を引いた年間手残りは36万円ほどにしかならなかった。
これでは駄目だと今度はキャッシュフロー重視で物件を探し、2年間で築古の激安アパートなど6棟を立て続けに購入する。借入額は1億円を超えたが、2019年12月には、生活費を賄える年420万円の手残りを達成した。

いんべすさんは31歳で会社を辞めた。今は物件探しや管理などの合間にフードデリバリーやネット活動の収益化などの副業にも励んでいる。これは生活費を稼ぐため。賃貸不動産からの収益は不動産に再投資するつもりだ。
実は早期退職や不動産投資は、妻との二人三脚。今は正社員として働く妻もいずれは退職して、将来は二人で大家業を営みたいと考えている。
(本間健司)
[日経マネー2021年1月号の記事を再構成]- 【幸せアーリーリタイアへの道】
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