リニア訴訟、原告532人却下 東京地裁「適格なし」
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JR東海が建設中のリニア中央新幹線について、沿線住民ら781人が国の工事認可取り消しを求めた訴訟の中間判決で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は1日、原告の7割弱に当たる532人の訴えを却下した。法律上「適格がない」と判断した。残りの原告は適格を認め、審理が継続する。原告側は「極めて不当だ」として控訴する方針。
今回原告になれるのは、国の工事認可によって個々の権利や利益が実際に侵害されたか、その恐れがある場合に限られる。中間判決は原告適格の有無だけを判断した。
却下された原告は、乗客の立場からリニアの安全性欠如を訴えたり、南アルプスの自然環境悪化を主張したりしていた。古田裁判長は「抽象的な公益にとどまり、保護すべき個人的利益とは言えない」と述べた。
一方、工事予定地の周辺住民については「大気汚染、騒音、地盤沈下で生活環境が害され、健康被害が生じる恐れがある」として適格を認めた。
判決後、原告側は東京都内で記者会見した。原告団長で自身も却下された慶応大名誉教授の川村晃生さん(74)は「安全性や自然環境の問題は今後、具体的に立証する予定だった。途中で終わらせた裁判所に抗議したい」と語った。訴訟には住民のほか、建設中止を求める市民グループらが参加している。
リニア建設を巡っては、静岡地裁や甲府地裁でも沿線住民らが工事差し止めを求める訴訟を起こしている。〔共同〕