米S&P、英IHSマークイットを買収 4.6兆円で
【ロンドン=篠崎健太】米金融情報会社S&Pグローバルは30日、英調査会社IHSマークイットを買収すると発表した。買収総額は負債込みで440億ドル(約4兆6千億円)。実現すれば世界有数の巨大な情報サービス会社になる。投資や企業活動におけるデータの価値が高まるなか、事業の規模と商品構成を拡充して攻勢を強める。

両社の取締役会が全会一致で合意した。IHSマークイットの株式1株に対し、S&P株0.2838株を割り当てる株式交換で合併する。統合新会社への既存株主の出資比率はS&P側が68%、IHSマークイット側が32%。競争当局の承認を前提に2021年後半の統合完了をめざす。
IHSマークイットは16年に米IHSと英マークイットが合併して発足した。自動車やエネルギーなどの市場調査に強みがある。購買担当者景気指数(PMI)、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引価格といった経済・金融データでも知られる。19年11月期の売上高は44億1460万ドル、純利益は5億270万ドルだった。
S&Pは売上高の5割弱を稼ぐ信用格付けを筆頭に、S&P500やダウ工業株30種平均など米国の代表的な株価指数を持つ。19年12月期の売上高は66億9900万ドル、純利益は21億2300万ドル。「プラッツ」のブランドで展開する商品情報も柱の一つで、IHSマークイットと統合すればエネルギー分野でも存在感をさらに高めそうだ。
新会社の最高経営責任者(CEO)にはS&Pのダグラス・ピーターソンCEOが就く。同氏は声明で「統合で規模と能力が拡大し、顧客の意思決定に必要な情報を届ける力を高められる」と語った。サービス構成の面で補完性が大きいとみており、統合完了から2年後までで3億5千万ドルの増収効果を見込む。