東京鉄鋼、3年ぶり高値 業績堅調で割安感強まる
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11月30日の東京株式市場で東京鉄鋼株が4日続伸し、一時前営業日比56円(3%)高の2250円と、2017年10月以来約3年ぶりの高値を付けた。新型コロナウイルス禍の中でも業績が堅調なうえ、投資指標面でも割安とあって資金の流入が続いている。

同社は鉄スクラップを主原料とする電炉メーカーで、建築物に使う鉄筋コンクリート用棒鋼を扱う。30日の終値は1%高の2207円に伸び悩んだが、日経平均株価が下落するなかで逆行高となった。
上昇に弾みがついたきっかけは10月30日に発表した21年3月期業績予想だ。それまで「未定」だったが、新型コロナにもかかわらず売上高は前期比7%増の630億円、純利益は25%増の50億円の見込み。首都圏の大型の再開発案件が動き出し、鉄筋の販売が増える。「東京五輪の延期が一因になっているかもしれない」(同社経理部)という。
同社の主力製品は「ネジ節鉄筋」と呼ぶタイプで、接合時はネジと同じように回すだけで済む。ガス加熱が必要な一般鉄筋に比べて専門技術が要らず、人手不足感が強いなかで需要が高まっている。PBR(株価純資産倍率)は0.4倍台と解散価値の1倍を大きく下回っており、コロナワクチンの開発期待から11月に入って強まった割安株物色の流れにも乗っている。
シンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが9月中旬時点で9.7%を出資する。いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は「投資ファンドが大株主で業績堅調なため、株主還元強化への期待もあるのだろう」とみていた。
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