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NECが森田新社長発表 売上高半減、世界で伸ばせるか

NECは21年4月に森田副社長が社長に就くと発表した

NECは30日、最高財務責任者(CFO)の森田隆之副社長が2021年4月1日付で社長に就くと発表した。森田氏はM&A(合併・買収)部門に長く携わり、海外経験も長い。NECの連結売上高は業績立て直しへの構造改革の結果、この20年でほぼ半減した。足元では欧州ソフト大手の大型買収を決めるなど、海外事業の拡大で反転攻勢を狙う。

パソコンや携帯電話もリストラ

「グローバルでの成長には最低でも5%の売上高営業利益率が必要だ」。現在の新野隆社長は16年4月の就任以来、こう繰り返してきた。連結売上高に占める海外比率は約25%と、海外を伸ばすのが課題との自覚はある。ただ、その前にまずは不採算事業を整理する必要があるとして、構造改革を進めてきた。

そもそもNECの過去20年は、人員削減や事業売却を繰り返す縮小均衡の歴史だった。01年3月期に約5兆4千億円あった売上高は、新野社長が引き継いだ17年3月期に約2兆6千億円にまで減少。パソコンや携帯電話など、消費者がNECブランドとしてよく知る製品も分離、撤退してきた。

新野氏自身も就任2年目に「黒字なのにリストラするのはどうなのか」との批判を受けながら国内3千人の人員を削減すると発表。20年には液晶ディスプレー事業をシャープに譲渡すると明らかにした。

その結果、過去5年は1~3%台にとどまってきた売上高営業利益率は20年3月期には4.1%の水準まで回復。1996年3月期以来の5%台も視野に入り始めた。

20年3月期の純利益は約1千億円と23年ぶりに過去最高を更新。ただ、中身をよくみると、部門別の営業損益は、官公庁向けシステムなどの「社会基盤」が642億円の営業黒字と稼ぎ頭で、従来のビジネスモデルから大きく転換できている訳ではない。製造業や流通、金融向けシステムなどの「エンタープライズ」部門の営業利益が521億円と続く。「グローバル」は32億円の営業赤字で、海外事業の立て直しが欠かせない。

欧州ソフト買収を手がけてきた森田氏

新社長に就くNECの森田隆之氏

未来の成長への種まきをしてきた一人が森田氏だ。18年以降、欧州のIT企業3社を次々に買収。買収額は倍々に膨らんでいき、20年10月には過去最大となる約2300億円でスイスの金融ソフト大手、アバロクを買収すると発表した。金融や行政で進むデジタル化をにらんだ買収で、今後のNECの成長をけん引する役割を担う。

6月に発表したNTTとの資本業務提携も海外強化の一環と言える。携帯電話の基地局整備はNECの主力事業の一つだが、海外への売り込みが弱く、世界の基地局市場は中国の華為技術(ファーウェイ)、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアの3社でシェア8割を占める。

足元ではファーウェイの通信機器を排除する動きが世界で進み、NECへの追い風が吹く。10月下旬、NECの遠藤信博会長は、訪日したトラス英国際貿易相と向き合っていた。

「NECもしっかりと対応していきます」。遠藤氏はこう伝え、5Gの関連拠点を英国内に設けることなどを説明した。英政府の秋波を受け、ファーウェイの代替候補の1社として基地局の受注拡大を目指している。英政府が11月30日に発表したファーウェイ排除の工程表にはNECの技術を使う実証実験も対象に盛り込まれた。

NECの新野社長(左)はNTTとの資本業務提携をまとめた

壁にぶつかってきた海外事業拡大

ただ、NECが海外での成長を掲げるのは今に始まったことではない。何度も挑戦しながら、これまでに突破できなかった壁をこえていく必要がある。入社5年目で米国に赴任し、チーフグローバルオフィサー(CGO)などを務めてきた森田氏が経営のトップに就き、芽を出そうとしている海外事業をいかに伸ばせるかがカギを握る。

「1つの大きなチャンスだ」。通信会社として世界で有数の規模を持つNTTと組むことについて森田氏はこう明言する。5Gでは出遅れたが、その次の6Gなど次世代技術で巻き返しを狙う。NECは高い精度を誇る顔認証技術などを持ちつつも、ビジネスに結びつけるのが苦手とされてきた。業務提携にとどまらずにNTTから出資まで受けて強固に組むことで、次こそは世界の基地局整備で存在感を示せるようになりたいとの覚悟がにじむ。

無駄を省いて筋肉質になった姿で、海外事業を伸ばして再投資する成長サイクルをつくることができるか。リストラが中心だったNECは事業拡大期へと様相を変えつつあるが、国内電機大手の多くがその局面でつまずいてきたのも事実。森田氏が受け取る経営のバトンは重みがいっそう増している。

(水口二季、中村元)

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