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エチオピア、北部の州都を「制圧」 混乱続く懸念

【カイロ=久門武史】エチオピアのアビー首相は28日、北部ティグレ州の支配勢力、ティグレ人民解放戦線(TPLF)との戦闘で、連邦政府軍が州都メケレを完全に制圧したと宣言した。TPLFはなお抗戦の構えをみせており、難民流出など人道危機が広がるなか混乱が続く懸念がある。

アビー氏は28日「ティグレ州での軍事作戦は完了した」とツイッターに投稿した。軍が空港や行政機関など重要施設を支配下に置いたとしたうえで、破壊された建物の再建や避難民の帰還に力を注ぐと表明した。今後は連邦警察がTPLF指導部の拘束に当たるとしている。

ロイター通信は、TPLFが戦闘を続ける考えを示したと伝えた。指導者が「彼ら(連邦政府)の残虐性は侵略者と最後まで戦う我々の決意を強めるだけだ」と表明したという。TPLFが山岳地帯に退き、経験が豊富とされるゲリラ戦に持ち込む可能性が指摘されている。

同州ではインターネットなど通信が遮断され、現地の詳しい状況は明らかではない。

アビー政権は今月4日、ティグレ州でTPLFの攻撃を受けたとして連邦政府軍に反撃を命じ、戦闘が始まった。アビー氏はTPLFに求めた降伏の期限を過ぎたとして26日、作戦の「最終段階」に入ると表明した。軍は28日にメケレ攻撃を開始した。これまでに空爆や地上戦で多数の死者が出たとみられている。

戦闘を逃れ隣国スーダンに押し寄せたエチオピア難民は4万人以上に達した。難民キャンプで食料や医療物資の不足が伝えられ、危機が深まる懸念がある。連邦政府軍が主要道路を封鎖し、住民がスーダンに行くのを阻んでいるとの報道がある。

ティグレ州では9日に数百人の市民が殺害されたとの報告があり「戦争犯罪に当たる」との批判が上がった。アビー氏は9日に内戦の危機を否定し「作戦は間もなく終結する」と表明していたが、作戦完了を宣言するまでに1カ月弱がかかった。

戦闘を巡ってはアフリカ連合などが仲裁に乗り出したが、アビー氏は「内政問題だ」として突っぱねてきた。アビー氏は2018年に隣国エリトリアとの国境紛争を終結させることで合意し、19年にノーベル平和賞を受賞している。

ティグレ州での戦闘がエリトリアに飛び火する局面もあった。同国にある米国大使館は28日、首都アスマラで爆発音が聞こえたと発表した。14日にはエリトリア政府と対立するTPLFが、アスマラにロケット弾を撃ち込んだ。

エチオピアは多民族国家で、少数民族ティグレがつくるTPLFはアビー政権が18年に誕生するまで30年近く政権を主導していた。最大民族オロモのアビー氏が首相に就任すると影響力がそがれ、TPLFは反発を強めた。アビー政権が新型コロナウイルスを理由に総選挙を延期した後、TPLFは9月にティグレ州で議会選を強行し、連邦政府との緊張が高まっていた。

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