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大阪、医療逼迫懸念一段と 軽症・中等症病床使用率53%

大阪市立十三市民病院(大阪市淀川区)

新型コロナウイルスの感染の急拡大で、重症者用病床だけでなく、軽症と中等症用も各地で急速に埋まりつつある。大阪府の病床使用率は28日時点で53%。府の試算では12月上旬には病床が不足する可能性がある。府は11月から入院基準を変更。感染者の一部を宿泊療養に切り替えるなど、綱渡りの対応が続く。病床や医療スタッフの確保も容易ではなく、医療体制逼迫の懸念が一段と強まっている。

中等症専門病院となった大阪市立十三市民病院(大阪市淀川区)。11月以降、毎日5~6人くらいの患者が次々と運ばれてくる。中等症の患者は酸素マスクの装着などが必要で、26日時点で42人が入院中だ。「これまでにないペースで搬送されている」。担当者は切迫した状況を明かす。

「第3波」では高齢者の感染が多く、入院患者も75%が70歳以上だ。食事の介助などが必要で「第2波より患者1人にかかる治療の時間が3倍以上」(担当者)。

現在の医療スタッフの体制である医師26人と看護師約100人では約60床が限界だ。当初計画の90床まで増やすには医師10人、看護師15人程度の追加が必要だという。大阪市は急きょ、他病院などの医師や看護師を派遣することを決めた。市担当者は「どの病院も人材に余裕がない」と焦りをみせる。

医療崩壊を防ぐため、大阪府は病床数の確保など対応を急ぐ。府は、府内約500カ所の医療機関に、病床の確保への協力を求める緊急要請をした。現在、コロナの対応にあたるのは約70カ所。受け入れの裾野を広げる狙いがある。さらに府は11月中旬から入院基準の政策を転換。これまで65歳以上は原則入院としていた。それを無症状または軽症の場合、府が用意したホテルなどの宿泊施設で療養してもらうように見直した。

背景には、入院患者数が病床数を上回る事態が現実味を帯びてきたことへの危機感がある。軽症と中等症の患者の病床使用率は28日時点で53%。だが、医療スタッフの確保などに時間がかかり、すぐに患者を受け入れられるのは956床。実際に稼働できる病床率でみれば、運用数に対する使用率は66.5%にまで上昇。病床逼迫の深刻化が浮き彫りになる。

27日までの1週間の新規感染者は前週の1.29倍。府の試算では1.4倍のペースが続けば軽症と中等症の病床は12月9日に不足状態に陥る。関係者によると、若者の間で感染が広がった「第2波」と違い、今回は40歳代以上や高齢者の感染も多い。このため入院での治療が必要になるケースが少なくなく、病床不足に陥る要因になっているとみられる。

府では宿泊療養用の部屋数も27日時点で約4割が埋まっている。府は新たにホテル2カ所と契約し、12月上旬までに2061室まで積み上がる予定。それでも、新規感染者数が1.5倍で増え続ければ12月中旬に確保数を上回る試算がある。

各地で軽症と中等症の病床使用率は高く、兵庫県では70.5%(28日午前0時現在)。県はさらに100床程度を追加で確保する方針。東京都では62.8%(26日時点)、北海道は71.2%(同)だった。入院者の増加が続く状況は感染拡大地域で共通しており、医療体制の切迫状況が浮かび上がる。

各地で病床の逼迫がさらに進んだ場合、自治体同士の協力も検討せざるを得ない状況だ。関西2府4県、鳥取、徳島両県などで構成する関西広域連合は病床が不足した場合、余裕のある他府県で受け入れることを申し合わせている。実際に患者を他の自治体に搬送したケースはまだなく、大阪府の担当者は「容体が悪い患者をどう搬送するかなど課題が多い」と打ち明ける。

医療政策に詳しいニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員は「今のような緊急時には、病床の融通などすぐにできる広域連携をフルに展開していくしかない。自治体任せにせず、広域連携の調整役を国には担ってもらいたい」と指摘する。

(大畑圭次郎 上林由宇太 古田翔悟)

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