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イラン核科学者暗殺 報復を示唆、中東に緊張

27日、テヘラン近郊で襲撃を受けたとされる車両=ロイター・WANA

イランの著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏が殺害された事件について、イランのロウハニ大統領は28日、イスラエルが事件に関与したと非難した。親イスラエルでイランを敵視してきたトランプ米政権末期に、中東情勢が再び緊張を増す懸念がある。

「邪悪な手を、この国の子どもたちの血でふたたび染めた」。ロウハニ師は28日の演説でイスラエルを名指しで批判した。殺害によってイランの科学技術の歩みを止めることはできないと強調した。イラン当局者は報復を宣言した。

イランメディアによると武装集団が27日、首都テヘラン近郊でファクリザデ氏を乗せた車を襲撃した。国営テレビは、衝撃でフロントガラスが割れ、車の部品が周囲に飛び散った現場の様子を伝えた。同氏は搬送先の病院で死亡が確認された。

米欧メディアによると、ファクリザデ氏は2003年までイランの極秘の核開発計画を率い、その後継計画も主導した可能性があるという。10~12年にイランの核科学者が4人殺害され、イランはイスラエルの関与を指摘する。

イスラエルは今回の事件に言及していないが、ファクリザデ氏を「イラン核開発の父」と警戒してきた。ネタニヤフ首相は18年のテレビ演説で、同氏をイランの核兵器開発の中心人物だとして「この名前を覚えておいてください」と批判した。

トランプ大統領はイスラエルに近く、イランと敵対してきた。18年に核合意から離脱し、金融・原油制裁を復活した。20年1月にはイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害した。イスラム教、ユダヤ教の聖地であるエルサレムをイスラエルの首都として認め、米大使館を移転した。

米大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領はイラン核合意への復帰に意欲を示すが、殺害でイラン側が態度を硬化させる可能性がある。イランと対立関係にあるイスラエルや湾岸アラブ諸国はイラン包囲網がゆるむことを警戒する。

イランでは今年夏、核関連施設や発電所などで不可解な爆発事件が立て続けに起き、イスラエルの関与の可能性が指摘された。疑心暗鬼がひろがるなか、中東の緊張が高まりかねない。

米CNNテレビによると、米海軍の原子力空母などがペルシャ湾に向かったという。イラクやアフガニスタンの駐留米軍の一部撤退の支援が目的としているが、イランの報復への警戒を強める狙いもありそうだ。

イランではイラン核合意を主導してきた穏健派のロウハニ大統領が21年に任期満了で退任する。米制裁で経済が悪化し、イラン国内では反米の保守強硬派が勢力を強めている。

コンサルティング会社コントロール・リスクスのグラハム・グリフィス氏(ドバイ)は「米もイランも全面的な軍事衝突をのぞまないが、トランプ時代の終わりまで、双方の計算ミスによる潜在的な脅威は残っている」と指摘する。

(ドバイ=岐部秀光)

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