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航空2社、公募増資相次ぐ ANAは3320億円調達

ANAホールディングス(HD)は27日、公募増資などで最大約3320億円を調達すると発表した。新型コロナウイルスの影響で業績が大きく悪化しており、財務を強化しつつ設備投資などを通じて構造改革につなげる。日本航空も増資で最大1826億円を調達する。海外の航空会社に比べると財務は健全だが、感染が再拡大するなかで備えを厚くする。

ANAHDの公募増資は国内外で実施する。国内で7割超を、残りを海外で募集する。最大1億4000万株を新たに発行する。現在の発行済み株式総数(3億4849万株)の4割に達する。

調達額のうち、2000億円を運航コストを減らせる米ボーイング社の中型機の購入や、既存機の客室改修などの設備投資に使う。残りの約1320億円で有利子負債を返済する。同日オンラインで会見したANAHDの中堀公博執行役員は「ビジネスモデルを変えるために必要な投資」と理解を求めた。

新型コロナの影響で2021年3月期の連結最終損益は過去最大の5100億円の赤字(前期は276億円の黒字)となる見通し。9月末の自己資本比率は32.3%と3月末から約9ポイント低下していた。

すでに劣後ローンで4000億円を調達している。追加の調達に公募増資を選んだことについて中堀執行役員は「財務の健全性を保ったまま、構造改革を進めるには公募増資が必要だと考えた」と話した。大型機削減や低コストの格安航空会社(LCC)事業の強化などの構造改革で22年3月期の黒字転換を目指す。

ANAHDの公募増資は00年以降4度目。新型コロナで業績が悪化した大手企業の増資はJALに次ぎ、調達額は今年最大となる。

増資によりANAHDの21年3月末の自己資本比率は30%台前半を維持する見通し。JALも4割を確保する見込み。

新型コロナで需要が急減した世界の航空会社はそろって大幅な赤字を計上し、財務も悪化している。QUICK・ファクトセットによると、足元での世界の上場航空52社の平均の自己資本比率は11%だ。米アメリカン航空や仏蘭エールフランスKLMなど12社は債務超過になっている。

相対的にはANAやJALの財務の健全性が高いものの、いち早く増資に乗り出したのは、先行きの不透明感が続いていることが大きい。

新型コロナは日米欧で感染が再拡大している。エールフランスKLMのベンジャミン・スミス最高経営責任者(CEO)が「予約状況は昨年に比べて大きく減っていて、10~12月期も厳しい」と話すなど、国際線を中心に需要回復には想定より時間がかかる可能性がある。

資金不足になる航空会社もあり、欧米を中心に政府支援も相次いでいる。国際航空運送協会(IATA)によると、世界の航空業界の債務は20年末までの1年間で約3割増え、5500億ドルとなる見通し。財務安定と資金確保は各社の喫緊の課題だ。

韓国では大韓航空によるアシアナ航空の買収が政府主導で決まった。フィリピンの大手航空会社フィリピン航空は法的整理を裁判所に申請する方針を固めた。需要回復が遅れれば、業界再編につながる可能性もある。

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