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「年金の不安」それ、ホント? 年金の日に真実を学ぶ

知っ得・お金のトリセツ(31)

11月30日は厚生労働省が提唱する「年金の日」。1130→イイミレイ→いい未来、に向け年金のことを考える日にしたい。とかく疑問や不信、不安も少なくない年金。若い人の間では自分たち世代の老後には「制度が破綻する」「払い損になる」という不安も根強いようだ。だが、それは杞憂(きゆう)だ。漠然とした不安を整理して正しく理解しよう。

保険料払ってない人、多いんでしょ?

年金未納率は3割~4割にも達している――。こんな数字を耳にしたことはないだろうか。3人に1人以上も未納者がいれば「それじゃ制度は持たない」と思うのも無理はない。使われるデータが国民年金保険料の納付率だ。確かに2010年から3年間は現年度納付率が60%を切っていた。足元では69%で「3~4割が未納」という認識の基になっている。

だがそれはあくまで国民年金の第1号被保険者内での割り算の話。自営業者や学生、フリーター、農林漁業者など1453万人が対象だ。一方で国全体の公的年金加入者は6759万人なので、全体を分母に割り算をすると未納者の比率は2%弱まで低下する。保険料は逆に「ほとんどの人が払っている」状況なのだ。

会社員や公務員が加入する厚生年金は国民年金(=基礎年金)とセットでつくられている。毎月毎月、給与から天引きされるので未納になりようがない。そして厚生年金加入者の間口を広げる制度改正を反映して、厚生年金の支え手は増加。5年前に比べ約400万人も増えている。

年金は世代間の「仕送り」だから少子高齢化で持たないんでしょ?

現役世代が支払う保険料は未来の自分の年金になるのではなく、今現在の受給者の年金原資になっている。これが世代間の仕送りと呼ばれる「賦課制度」だ。現役世代の数と高齢者の数を比べると「仕送り力」が細っているように見えるのは確かだ。

「胴上げ型」から「肩車型」へ、と言われるように1人の高齢者を支える若者の数は減っている。65歳以上の人口と現役世代(15歳以上64歳以下)の人口を比べると、1960~70年代ごろは10人強で1人を支えていたのが、足元では2人で1人。2050年ごろには1人台の「マンツー仕送り」に近づくようにみえる。

とはいえ、画一的に「65歳以上を15歳~64歳が支える」と決める必要もない。高齢労働者の人口は以前と比べて倍増しており、今では65歳以上の男性のおよそ3割、女性でも2割が働いている。また、労働力人口と非労働力人口の対比として見てみると、戦後はほぼ一貫して1人の非労働者を1人ちょっとの労働者が支える肩車型の社会ではあったわけだ。過度に肩車を怖がる必要はない。

若い世代は「払い損」なんでしょ?

保険料として払った額の総額より少ない額の年金しかもらえないことを「払い損」とするなら、若者世代でもそんな事態は想定されていない。倍以上もらえる設計だ。

経済成長や人口増などを一定の条件で試算した将来の年金の給付と負担の割合は、厳しめに見積もったケースでも1995年生まれの若者で2.3倍(厚生年金の場合)。3400万円の保険料を払って7900万円の年金がもらえる計算だ。確かに1945年生まれの4.3倍と比べると低下はするが「損」にはならないようになっている。

なぜかといえば、そもそも基礎年金の半分は税金があてられているし、厚生年金の保険料は雇用主と折半して(現在は18.3%を9.15%ずつ)負担している。公的年金は社会のセーフティーネットであり金融商品とは異なるので、損得の考え方はそぐわない。だがそれにしても「損」にはならないことを確認しておきたい。

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山本由里(やまもと・ゆり)

1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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山本 由里

カバージャンル

  • マーケット
  • 企業業績
  • 資産運用

経歴

1993年入社のアラフィフ。キャッチフレーズは「1円単位の節約から兆円単位のマーケットまで」。証券部を軸足に日経ヴェリタスやテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」、マネー報道部など一貫してお金周りの記事の執筆・編集・番組制作に携わってきました。ただ、多忙を口実にタクシーを多用するなど自分のお金管理は杜撰。人生100年時代を見据え、蓄えた知識を実践に落とし込んで成果を発信するのが今年の目標です。

現職はマネー編集センター マネー・エディター兼キャスター。

活動実績

                    
2020年12月18日 福岡日経懇話会で「100年ランの走り方 これからの資産管理術」講演
2020年12月15日~ 日経電子版ニュースをひとこと解説する「日経Think!」のエキスパート(投稿者)を担当
2020年11月30日 YouTube「NIKKEIマネーのまなび」チャンネル出演。社労士の井戸美枝氏と「将来もらえる年金を2000万円増やす方法」対談
2020年11月21日 日経ウーマノミクス・プロジェクトのオンラインセミナー「ジブン流資産形成、はじめませんか」登壇
2020年8月17~21日 日経CNBCの夏休み特別企画「天引きから始めよう」出演
2020年2月18日 日経CNBC「昼エクスプレス」スペシャルトーク出演
2020年2月7日 香川日経懇話会で「人生100年時代に備える資産形成」講演
2020年1月7日 日経CNBC「昼エクスプレス」スペシャルトーク出演
2019年4月~ 電子版有料会員向けニューズレター「NIKKEI Briefing」で執筆メンバーの1人として毎週水曜発信「Women’s Insights」を担当。最新作:人生100年 気になる2つの50%(2020年2月5日)
2019年4月~ BSテレ東「日経プラス10」に解説キャスターとして出演中
  共著に「資産運用大全」「定年ですよ」「これからの人生お金に困らない本」など

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