米ディズニー、解雇3万2000人に拡大 コロナ休業長期化

【シリコンバレー=佐藤浩実】米ウォルト・ディズニーが従業員の雇い止めを拡大する。2021年3月までに、従来の計画より4000人多い3万2000人と雇用契約を打ち切る。新型コロナウイルスの感染が収まらず、テーマパークを本格的に再開できない状況が続くためだ。感染対策と雇用を両立する難しさがにじむ。
25日夜に米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかにした。3月から休業が続く米カリフォルニア州の「ディズニーランド」や、来園者を絞っているフロリダ州の「ディズニーワールド」で働く従業員が主な対象となる。同社は9月に2万8000人を減らす計画を公表していたが、コロナの影響が長引くなかで対象者を1割超増やした。
ディズニーの従業員は10月3日時点で20万3000人にのぼり、約4分の3がディズニーランドやクルーズ旅行、グッズ販売といった「テーマパーク部門」で働いていた。解雇対象となる3万2000人は、全体の16%、テーマパーク部門の2割にあたる。それとは別に、3万7000人が「ファーロー(無給休職)」の状態にある。

感謝祭の季節に明らかになった大規模な人員削減は、コロナの感染対策と経済活動を両立させる難しさを映し出す。
例えば解雇の中心となるカリフォルニア州では、州が「郡」と呼ぶ地域別に感染状況を判断して業種ごとの営業の可否を決めている。現行基準ではディズニーランドは21年夏まで再開できないとみられ、ディズニーは「世界のテーマパークで安全を確保している」として、別の尺度で測るよう州に求めていた。
ただ同州ではコロナ感染者の急増が課題になっており、個別の交渉が進む気配はない。接客など独自の教育をした従業員の解雇は同社にとっても痛手となるが、先を見通せない状況が雇い止めに拍車をかけた。
ディズニーのテーマパーク部門の20年9月期通期は、売上高が前の期比37%減の165億ドル(約1兆7200億円)、営業損益は8100万ドルの赤字だった。コロナの影響が長引けば、配当の見送りや投資の縮小に加えて「さらなる人員削減に踏み切る可能性もある」としている。