JR東との協業案、スタートアップが披露 大賞はフォトシンス

JR東日本子会社のコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)であるJR東日本スタートアップ(東京・港)は26日、同社が協業するスタートアップが登壇するイベントを開催した。外部の経営者などによる審査を経て、大賞はスマートロックを開発するフォトシンス(東京・港)が受賞した。

今年で4度目となる「JR東日本スタートアッププログラム」は、起業10年以内のスタートアップを対象に、4~5月にJR東日本グループの駅施設や鉄道などを生かした製品やサービスの提案を募集。242件の提案から計18社を採択した。

採択された企業はJR東日本グループの担当者と協業のプランを作成し、26日のイベントで発表した。各社8分ほどの発表と質疑応答を経て審査を受けた。
大賞をとったフォトシンスはJR東日本の交通系ICカード「Suica(スイカ)」を用いた鍵の開閉システムを提案した。実証実験を21年3月までに始め、効果が見込めれば事業に採用される予定。河瀬航大社長は「3年がかりでスイカと連携するためのシステムを作った。他の交通系ICカードとの連携も進めたい」と話した。
審査員は経営者やJR東日本の取締役など6人が務めた。審査員でグロービス・キャピタル・パートナーズの仮屋薗聡一代表パートナーは「経営資源に厚みを持つJR東のCVCならではの生活に根ざした提案が多かった」と振り返った。
スタートアッププログラムでは19年度までで計63社のアイデアを採択し、実証実験を経てこれまで28社が事業化に至った。新型コロナウイルスの影響でJR東は鉄道事業を中心に打撃を受けたが、JR東日本スタートアップの柴田裕社長は「JR東日本が置かれている経営環境が厳しいからこそ、前例にとらわれないイノベーションが大事だ」と連携に期待を寄せる。
JR東日本は経済産業省などが7~8月に実施したスタートアップがオープンイノベーションで評価する大企業の調査で4位となり、前年の7位から順位を上げた。