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悲劇の皇女巡る冒険活劇(ミュージカル評)

宝塚宙組「アナスタシア」

ディミトリ役の真風涼帆(左)とアーニャ役の星風まどか

歴史上の伝説を題材にした快作だ。宝塚歌劇団宙組による「アナスタシア」(テレンス・マクナリー脚本、稲葉太地潤色・演出)は、同名のアニメーション映画に着想を得て作られたブロードウェイ・ミュージカルの宝塚版。20世紀に起きたロシア革命を背景に、ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世の末娘アナスタシアを巡って、スケール感あるドラマチックな物語が緩急よく繰り広げられている。

革命で皇帝一族は処刑されたが、末娘だけが生き残っていたと言われるのが「アナスタシア伝説」。その皇女の幼き日の姿から幕が上がり、祖母・マリア皇太后との心温まる語らいが描かれる。

時を経て、ロマノフ王朝は終焉(しゅうえん)。皇女の生存が噂される中、パリで暮らす皇太后からの莫大な報奨金を狙い、詐欺師のディミトリは替え玉を探し始める。そこへ、アナスタシアによく似た記憶喪失の娘アーニャが現れる展開だ。

宝塚版の主人公はディミトリ。アーニャに歴史や行儀作法を教え、困難を乗り越えながら、一緒にパリへと向かう。二人の心の距離が徐々に縮まっていく様が伝わり、ついに実現するアーニャと皇太后の対面にはじんわりと胸が熱くなるものがある。

ディミトリ役は真風涼帆で、アウトロー感と爽やかさを併せ持つ好漢。アーニャの星風まどかが芯の強い女性を表現し、彼女を追うロシア新政府の役人グレブを演じた芹香斗亜の人間味、皇太后の寿つかさの品格も目を引いた。

ディミトリとアーニャとの恋の行方や冒険を、優しい眼差(まなざ)しで描出。人間愛、家族愛も映し出される温かで心地よい後味の作品だ。宝塚大劇場で12月14日まで。

(演劇評論家 坂東 亜矢子)

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