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日本育ちのトップ選手、原石探す テニス・添田豪(下)

添田は「トップ選手やエリートでなくても四大大会を目指す余地を作りたい」と話す

コロナ禍でツアーが中断していた8月、添田豪(GODAI)が会長を務める全日本男子プロテニス選手会は千葉県でプロアマ混合団体戦を開催した。試合に出られなくても、練習相手としてアマを多く呼んだ。

世界ランク56位の西岡良仁が高校生らをポイント練習に誘う。必死にボールを追う高校生に「ジュニアのレベルじゃない」と褒めると、「目指す場所が見えた。意識を高く持ちたい」と弾んだ声が返ってきた。

コートサイドで眺めていた添田は言う。「できるだけ早くプロと接する機会があるといい」。選手会は要望に応じて公開練習やクリニックを行う。ジュニアのトップでなくても「これは」と思わせる選手に出会うことがたびたびある。添田は「(日本テニス)協会はトップ選手やエリートに目が行きがち。そうでなくても四大大会を目指す余地を作りたい」と狙いを語る。

添田が育った荏原湘南スポーツセンター(神奈川県藤沢市)には26面のコートがある。味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)は4面。欧米のような協会主導の育成システム構築は厳しい道のりだ。そんな中でも、選手の意識は変わりつつある。

「僕らがジュニアの頃は『世界のトップ選手は違う世界の生き物』と教えこまれたけれど今はそんな先入観はない。これは大きな差」。錦織圭が"違う世界"に足を踏み入れ、添田ら日本育ちの選手もトップ100入りした。どういう過程を踏めば、プロとしてそれなりの生活ができるとされるトップ100に行けるか、指導者も理解している。

しかし、錦織より若い世代で世界100位を切ったのは海外のアカデミーで鍛錬した選手ばかり。四大大会の予選出場が見える250位手前でもたつく選手が多い。「プロセスは分かっていても、(目標に)たどり着くためには何が足りないかを自分で理解し、(人にはない)オリジナリティーを一つは持たないといけない。なのに、今は選手の考え方が同じに見える」

国内に世界を知る指導者もNTCもなかった添田の世代は「何もなさすぎて、自分で考えるしかなかった」。といって、今の若い選手を「ハングリー精神が足りない」と一喝するのは違うと思う。「世界的にも、勝って家族を養わなければ、というプロ選手はいまほとんどいない。今は楽しんでゲーム感覚でやる方があっている」

そのために、プロに接し、親しんでもらうイベントを選手会は企画する。それは国内のプロ選手の活躍の場を作ることにもなる。自分より少し上の世代が指導の現場に入り始めたが、「僕はもう少しプレーヤーでいますよ」。選手としてやることがまだ残っている。=敬称略

(原真子)

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