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NY株3万ドルの追い風 海外勢、日本株買い裾野拡大

「みんな知ってるかい? 日本株の時価総額は世界の6%に達する。では、みな日本株持っているかい? おそらくゼロ、ナッシングだろう。せいぜい1%程度かな」(数字は発言のママ)

筆者が参加しているNYの仲間たちの電話会議での1コマだ。米ダウ工業株30種平均が3万ドルの大台突破後、臨時に開催された。(この会議の詳細は11月13日付「海外投資家の日本株買いは第1波の兆し」を参照されたい)

米国株に偏重しているポートフォリオの国際化として欧州株、新興国株、中国株が一通り買われたところで、残る「最後のフロンティア」が日本株だと語る。これまでは、中国株までで話は終わっていた。日本株はエキゾチックという表現で「異国の株」扱いされてきた。

しかし、ダウ平均が3万ドルの大台にまで株が買い上げられると、残る選択余地は限られる。これまで日本といえば、ジャパニフィケーション=「インフレ率が上がらない国」というレッテルを貼られてきた。しかしディスインフレ傾向は今や主要国に共通の現象だ。冒頭の発言で、「なるほど日本株もアリか」との反応が電話会議中に広がった。

おりから日本株の上昇率が際立っている。

この英語での電話会議では、「イッシン」という単語も出てきて、筆者は一瞬、なんのことか戸惑ったが、「維新の会」のことであった。そこまで政権交代後の日本政治情勢を調べ上げている参加者もいたわけで、日本株への本気度も体感した。

足元で日本の株式市場は、海外勢の売買に振り回されているが、これは、プレリュード(序奏曲)にすぎない。2021年にかけ、本番が幕開けとなりそうだ。短期勢、長期勢、入り乱れての参入となる気配を感じる。ボラティリティーも高くなりそうだ。

なお、日本株についての問題点として「日銀の上場投資信託(ETF)買い」が常に指摘されてきた。日銀買いで日経平均は4000円ほど上乗せされているとの試算も提示されている。欧米で中央銀行の大量株購入と保有は「禁じ手」だ。従って、質問としては、「日銀保有の日本株の出口は?」という類いが多い。そこで感じることだが、日本株が高値圏の今こそ、その出口の議論を日銀主導で開始するタイミングではないか。出口への道筋を検討していることだけでも明示すれば、海外投資家もとりあえず納得しよう。特に米国年金は長期保有が前提なので、担当部門は稟議(りんぎ)書を書かねばならず、避けては通れない議論ゆえ重要度は増すのだ。良質のマネーを呼び込むには、真摯な姿勢で向き合わねばなるまい。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima

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