米バイアコムCBS、出版事業を売却 最大手ペンギンに
【ニューヨーク=清水石珠実】米メディア大手のバイアコムCBSは25日、傘下の米出版3位「サイモン・アンド・シュスター」を、米最大手のペンギン・ランダムハウスに売却することで合意したと発表した。売却額は21億7500万ドル(約2270億円)。売却益は負債の返済や成長分野への投資に充てる。

合併が承認されれば、米書籍市場の3分の1を占める巨大出版社が誕生する。だが、寡占懸念から米当局の承認獲得は難航する可能性もある。来年1月に発足する見通しのバイデン政権は、伝統的に大型買収に寛大とされる共和党・トランプ政権よりも寡占問題を厳しく審査するとの見方も浮上している。
バイアコムCBSは3月、米メディア業界の主戦場がネット動画配信事業に移る中、出版事業は中核事業にあたらないと判断して売却の方針を固めた。出版事業売却で得た資金は、主に動画配信向けのコンテンツ強化などに使う計画だ。
売却先のペンギン・ランダムハウスの親会社は、欧州メディア大手の独ベルテルスマンだ。2013年に英ペンギン・ブックスを傘下に収めたのに続く出版業界での大型買収となる。サイモン・アンド・シュスターは1924年創業の米出版老舗で、英語書籍の「5大出版社(ビッグ5)」の1つだ。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ルパート・マードック氏が会長を務める米メディア大手ニューズ・コーポレーションもサイモン・アンド・シュスターの買収を狙っていたが、ベルテルスマンの買収条件が上回ったという。ニューズは、米出版2位の「ハーパーコリンズ」を傘下に持つ。
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