三重大、麻酔科医さらに4人退職へ カルテ改ざん事件
三重大病院(津市)の男性元准教授=懲戒解雇=がカルテを改ざんしたとされる事件を受け、元准教授が在籍していた臨床麻酔部の医師4人が今月末に退職することが25日、病院関係者への取材で分かった。9月にも6人が退職。トップの男性教授も退職しており、残る医師は4人となる。

三重大病院は、県内外の他の病院に協力を要請するなどして急場をしのいでいるが、手術の延期や件数の減少など、影響が深刻化する可能性がある。
三重大病院では専門医育成の研修プログラムが10月に停止。一部は十分な研修を受けられないことを退職の理由に挙げた。三重県の鈴木英敬知事は25日の記者会見で「全ての診療科目に影響がある麻酔科で人材育成が滞らざるを得ない状況を大変遺憾に感じている」と言及。研修を管理する日本専門医機構に対し研修の早期再開を要望したと明らかにした。
大学が設置した第三者委員会によると、元准教授は2018年4月~20年3月、実際には使っていない薬剤「ランジオロール塩酸塩」を患者に投与したかのように約2200件のカルテを改ざんし、診療報酬計約2800万円を不正に請求。ランジオロール塩酸塩を積極的に使うよう元教授に指示され、自らの評価を高めるためカルテを改ざんしたと説明した。
三重大の告発を受け、津地検が公電磁的記録不正作出・同供用の疑いで改ざんの経緯を捜査している。元教授の関与も慎重に調べている。〔共同〕