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G1・8勝馬か、無敗三冠馬か ジャパンカップ29日発走

世紀の対決が29日に幕を開ける。東京競馬場で開催される第40回ジャパンカップ(G1・芝2400メートル)。今秋の中央競馬を彩った「大記録シリーズ」の主役3頭が勢ぞろいする。今年の牡牝の3歳三冠を無敗で達成したコントレイルとデアリングタクト。史上初めて国内外G1で8勝目をあげたアーモンドアイは、この歴史的舞台を最後にターフを去る。新旧スターの最初で最後の対決。笑うのはどの馬か?

アーモンドアイ、最後の舞台に泰然

天皇賞・秋で優勝したアーモンドアイ(右)。G1レース8勝目を挙げた=共同

国内外G18勝の女王が、歴史的カードの最後のピースを埋めた。名だたる名馬が越えられなかったG17勝の壁を、1日の天皇賞・秋(東京)で破ったアーモンドアイ。陣営が最後の舞台に選んだのは、牡牝の無敗の3歳三冠馬が待つジャパンカップだった。

デアリングタクト、コントレイルの順に、関係者が参戦を発表。残るアーモンドアイの動向に注目が集まった。天皇賞後、福島県のノーザンファーム天栄に移っていた同馬の体調を見極めていた陣営は、12日に沈黙を破った。国枝栄調教師が天栄に赴き、参戦と今回限りの引退を発表した。

アーモンドアイは18日に美浦に戻り、25日に最後の調教を終えた。国枝調教師は「馬はフレッシュで元気。何の問題もない」と自信を見せた。3歳の新星2頭との対決に「新たな強い馬と走るのは面白い」と話し、「何としても勝とうとかでなく、(いいレースをして)結果がついてくれば」と、いつも通りの泰然自若ぶりだ。

これも、大記録の重圧から解放されたためか。重圧がいかに大きかったかを、レース後の主戦クリストフ・ルメールの姿が物語る。冷静沈着な名手が感情を抑えきれず、2度も涙した。アーモンドアイと自身の関係を「ラブストーリー。でも、もう終わってしまう……」と言葉を詰まらせた。

デビューから約3年4カ月。アーモンドアイの14戦を「毎回、驚きの連続だった」と振り返るのは、同馬を所有するシルクレーシングの米本昌史代表。3歳時の桜花賞、秋華賞は圧倒的な末脚で完勝。ジャパンカップでは道中2番手から抜け出し、2分20秒6の中央レコードで度肝を抜き、競馬界の悲願である凱旋門賞制覇の夢も託された。遠征は幻となったが、G18勝という大業は、一戦一戦のすごみに、数字が追いついた印象だ。

次代の競馬界を背負う2頭に、真の強さとはいかなるものかを身をもって示すこと。それが女王のターフでの最後の仕事となる。

「国内最強」へ充実のコントレイル

 第81回菊花賞を制し、史上3頭目の無敗での3冠を達成したコントレイル(左)と2着のアリストテレス=共同

2着馬と首差という死闘を制し、無敗の三冠馬となった菊花賞(G1)から1カ月。3歳牡馬ナンバーワンの地位を固めたコントレイルが国内最強の座を狙い、ジャパンカップに出走する。

菊花賞はこれまでの7戦で最も苦しんだ。適性外の距離3000メートルに加え、2着アリストテレスの徹底したマークにあった。最後の直線でも同馬を振り切れないまま、馬体を並べてのゴール。管理する矢作芳人調教師も「最後まで勝てるか確信が持てなかった」と語るほど厳しい戦いだった。

ただ、不得手な条件でも最後に押し切った点が底力の現れだ。完璧な騎乗でアリストテレスの力を引き出した騎手のクリストフ・ルメールは「コントレイルは全然止まらなかった。強すぎる」と脱帽した。

菊花賞のレース後、矢作調教師はコントレイルのジャパンカップ参戦について「厳しいレースだったので、馬の状態を慎重に見極めたい」と語るなど、消耗を懸念していた。だが、激闘から5週後の大舞台に出走できるまでに回復した。18日の調教に騎乗した主戦騎手の福永祐一は、3000メートルを走った影響について「馬は元気だし、乗っていて特に気になることはない」と語った。この回復力も、同馬が既に名馬の域に入った現れだ。

舞台の東京芝2400メートルは、三冠の中でも最も楽に勝った日本ダービー(G1)と同じ。1年前には芝1800メートルのG3で1分44秒5という2歳馬としては破格のタイムで圧勝するなど、東京では特に強い。京都芝3000メートルの菊花賞と比べても「はるかに(条件は)いい」と福永も話す。

1984年のシンボリルドルフ、2005年のディープインパクトと、過去の無敗の三冠馬2頭は、年長馬との初対戦だったG1で初黒星を喫した。コントレイルは空前のメンバーが集まった歴史的な大一番で、ジンクスを打ち破れるか。

デアリングタクト、年長・牡馬に挑む

 第25回秋華賞を制し、史上初の無敗での牝馬3冠を達成したデアリングタクト=共同

史上初めて、無敗での3歳牝馬三冠を達成したデアリングタクトは、成績が示す通り、3歳牝馬同士では無敵。「走るたびに驚かされる」と、管理する杉山晴紀調教師が語るように、底知れない能力を発揮してきた。

秋華賞(G1)では、第3コーナーすぎという早いタイミングで進出を始め、最後の直線で先頭に立つと、そのまま押し切った。道悪で追い上げてきた桜花賞(同)、鋭く伸びてきた2冠目のオークス(同)、息長く末脚を使った秋華賞と、全く違うレースぶりで結果を出すところに、同馬の非凡さが表れている。初の年長馬相手となるジャパンカップでもその力は通用するはずだ。

牡の三冠馬コントレイルも出走するが、同馬と比べても有利な材料は多い。ジャパンカップが今秋2戦目となる臨戦過程だ。

コントレイルは秋初戦に神戸新聞杯(G2)を挟んで三冠目の菊花賞(G1)に進んだ。3000メートルの菊花賞で苦戦し、消耗も気になる。

一方、デアリングタクトは秋華賞が秋初戦。2戦目で心身ともに上昇が期待できる。秋華賞当日はパドック(下見所)で小走りになるなど、気持ちが高ぶっていたが「一度レースに使って、普段も落ち着きが出てきた」と杉山調教師は語る。

年長の牡馬より4キロ、アーモンドアイやコントレイルより2キロ軽い53キロの斤量も有利。強い相手が集まり「あくまで挑戦者の位置付け」(杉山調教師)ではあるが、好勝負は当然、期待できる。東京の2400メートルは2冠目のオークスと同じ舞台で条件も全く問題ない。

牝馬三冠馬が同年のジャパンカップに出走した例は過去に2回ある。2012年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイはいずれも年長馬の強豪相手に優勝した。データ通りにデアリングタクトが勝ち、今回限りのアーモンドアイを破れば、世代交代を鮮やかに印象づけることになる。

三冠馬3頭出走は初めて

史上初めて、牡牝の歴代三冠馬3頭が集まる今回のジャパンカップ。過去、三冠馬2頭が対決したのは計4回。初回は1984年の第4回ジャパンカップだった。

83年に19年ぶり史上3頭目の3歳三冠馬となったミスターシービーと、翌84年に史上初の無敗の三冠を達成したシンボリルドルフの初顔合わせ。ミスターシービーは直前の天皇賞・秋を優勝し、満を持して臨んだ。一方のシンボリルドルフは菊花賞後、中1週の強行軍だったが、前年までジャパンカップは外国馬が3連覇。日本馬初優勝の期待を担って参戦した。

蓋を開ければ、結果は伏兵カツラギエースの逃げ切り。好位置につけたシンボリルドルフは直線で伸びを欠き3着。馬群のはるか後ろで運んだミスターシービーは末脚不発で10着に沈んだ。両三冠馬は、同年の有馬記念、翌85年の天皇賞・春に対戦したが、いずれもシンボリルドルフが先着した。

牡牝の三冠馬の初対戦は、2012年のジャパンカップ。11年に牡馬の三冠を達成したオルフェーヴルは、12年の凱旋門賞で2着惜敗後の帰国初戦。ジェンティルドンナは同年の牝馬三冠を制し、1歳上の現役最強馬に挑んだ。

レースは15番枠から積極的に3番手を進んだジェンティルドンナが直線で内柵沿いから進出し、直線で外から伸びたオルフェーヴルとの競り合いに。ジェンティルドンナの岩田康誠騎手はゴール前で激しいアクションを見せて外に斜行。オルフェーヴルがバランスを崩す場面もあり、結局はジェンティルドンナが鼻差で勝った。

ジェンティルドンナの優勝は、近年の牝馬の活躍を象徴する場面で、今回の三冠牝馬2頭がこの流れを引き継ぐかも注目される。

(野元賢一、関根慶太郎)

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