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英国、ESGファンドへの資金流入が加速

海外投信事情

英国の投資信託市場で個人投資家がESG(環境・社会・企業統治)関連ファンドに資金を振り向ける動きが一段と加速している。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、「E(環境)」のみならず、働き方や雇用維持といった「S(社会)」も注目され、ESGというキーワードが投資家の間で浸透してきたことが背景とみられる。英政府が気候変動などESG課題への取り組みを強化する方針を表明していることも後押しとなる。

1~9月期の純流入額、1兆円に迫る

英国投資協会(IA)によると、ESG課題に積極的に取り組む企業に投資する「責任投資ファンド」は設定から解約などを差し引いた純資金流入額が2020年1~9月期に71億2700万ポンド(約9835億円)の流入超となった。前年同期(19億3400万ポンド)と比べ流入超過額は3.7倍に達し、19年通年(32億800万ポンドの流入超)と比べても2.2倍だった。

コロナ禍で資金流入が加速し、足元では月次ベースで10億ポンド前後の流入超が続いている。このペースでいけば20年は年間ベースの流入超過額が100億ポンドを上回る勢いだ。9月末時点の運用資産残高は約400億ポンドに及んだ。

ESG指数が増加、伸び率が最大に

ESG投資の人気は今後も続きそうだ。インデックス事業協会(IIA)が10月に公表した報告書によれば、2020年に全世界に存在する「指数」は前年比3%増の305万だった。このうち、種類別で開発された指数の伸び率が最も大きかったのがESG関連指数で、前年に比べ40%の増加となった。これは18年に同調査を始めて以降、「他のどの資産クラスの指数よりも大きい伸び率になった」(IIA)。他の資産では債券指数が7%増加したが、これもESG要素を組み入れた指数の開発が寄与した面があるという。

英調査会社ETFGIによると、ESG関連の上場投資信託(ETF)や上場投資証券(ETN)が相次いで市場に投入され、欧州を中心に同商品への資金流入が順調に拡大。20年7月末時点の総資産は1010億ドル(約10兆5000億円)と過去最高に達した。

英政府が取り組み強化、個人の関心一段と

英政府の政策もESG投資を後押ししている。ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると11月に発表。規制目標を当初の40年から35年に前倒しする方針を2月に示していたが、規制導入のさらなる前倒しを決めた。また、国際的な枠組みである「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿って、気候変動が財務や事業に与える影響に関する情報開示を企業に義務付けることも表明した。

IAのクリス・カミングス最高経営責任者(CEO)は「2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量と吸収量あわせてゼロにする『ネットゼロ』の達成に向けて、IAとしても政府・企業・クライアントと協力して進めていく。そして英国が持続可能な金融業界の世界的リーダーであり続けることを確実なものにする」とコメントしている。ESG課題への取り組みが一段と強化される状況で、ESG投資への関心はますます高まる気配を見せている。

(QUICKリサーチ本部 荒木朋)

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