ムーア7回無安打の快投 ソフトバンク日本一王手
150キロをドンピシャで捉えた巨人・坂本のライナーがレフトに飛ぶ。だが最後のひと伸びが足りない。左翼・グラシアルがフェンスの手前でグラブに収めた。
ソフトバンク2点リードの四回1死。走者なしでカウント3-0となれば次の球はど真ん中直球に決まっている。坂本はそこを狙ったが、ムーアにはそれを上回る球威があった。

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打者と投手の力関係は直球を打ち返せるかどうかで決まる。見え見えの力勝負で相手の主力を押し切った1球は、巨人打線に対するムーアの優位を印象づけた。
大リーグ通算54勝の実力派左腕にとっても日本シリーズは特別な舞台だった。ワールドシリーズには出たことがなく「キャリア最大級のビッグゲーム」。緊張感があった初回、いきなりピンチに見舞われた。
先頭の平凡なゴロを遊撃・牧原が一塁に悪送球。いきなり無死二塁となったが、坂本を変化球で空振り三振、岡本を154キロで遊ゴロに仕留めて切り抜けた。「いつも通り、1球ずつ自分の球を投げることに集中した」。その後もストライク先行の投球でゴロを打たせ、三振を奪った。
六回、自らの失策で先頭を出しながら後続を断つと、味方が満塁機を逃した直後の七回は三者凡退。流れを渡さず、バトンをつないだ。「シリーズを大いに楽しめた」
工藤監督は「(無安打のまま代えたのは)ちょっと疲れが見えたので。素晴らしいというよりすごかった。明日も浮足立たず、自分たちの野球をしたい」。4年連続の頂点に向け、死角は見当たらない。
(吉野浩一郎)
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