エアアジア債務超過 7~9月期、赤字210億円
【シンガポール=谷繭子】マレーシアの格安航空(LCC)大手、エアアジア・グループが24日発表した2020年7~9月期決算は、最終損益が8億5100万リンギ(約210億円)の赤字だった。赤字額は前年同期の5100万リンギから約17倍に膨らんだ。9億7900万リンギの債務超過となった。

手元資金の確保が喫緊の課題だ。トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)はマレーシア政府の保証がついた融資を固めたとしていたが、決算発表資料では「複数の銀行から確保する最中にある」としている。
売上高は4億4200万リンギと前年同期より86%減った。エアアジア本体の輸送能力は81%少なく、旅客数は85%減った。人員削減などで固定費を50%圧縮したが運航の落ち込みを補えず、5四半期連続の赤字となった。1~9月の赤字額は26億リンギを超えた。
日本事業のエアアジア・ジャパンは17日、破産申請の手続きを取ると発表した。中長距離を専門とするエアアジアXも債務超過で、再建を目指し債務の99.7%減額を債権者に申し出ている。エアアジアはこれらの関連会社への売掛金について、4億4420万リンギの損失引当金を計上した。エアアジアXの7~9月期決算は3億800万リンギの最終損失だった。
世界各地でコロナ感染が再燃し、国際線の本格回復の見通しはついていない。国内線は年末までにタイでコロナ前の水準に回復が見込まれるが、フィリピンではコロナ前の13%とばらつきが大きい。お膝元のマレーシアでも感染が再拡大している。同氏は「21年の流動線は十分あると見込む」との見方を示したが、先行きは見通しにくい。
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