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イスラエル、サウジとの関係改善に意欲 米の政策転換を警戒

【カイロ=久門武史】イスラエルのネタニヤフ首相が22日に国交のないサウジアラビアを秘密裏に訪れたとイスラエルメディアなどが報じた。訪問の背景には、トランプ米政権がつくったイスラエルとアラブ諸国の関係改善の流れを止めたくないイスラエル側の思惑がある。米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領は中東政策の見直しを示唆している。

イスラエルのネタニヤフ首相はプライベートジェットでサウジアラビアを訪問したと報じられた=AP

イスラエルのメディアは23日、ネタニヤフ氏が22日にサウジを訪れ、同国の実力者、ムハンマド皇太子と会談したと伝えた。イスラエル首相府はコメントしていない。同国の閣僚の一人が会談を認めた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、両者は両国関係の正常化や、それぞれが緊張関係にあるイランについて協議したが具体的な合意はなかったと伝えた。

一方、サウジのファイサル外相は23日「そのような会談はなかった。いたのは米国とサウジの高官だけだ」とツイッターで否定した。ムハンマド皇太子の父親のサルマン国王はイスラエルとの国交樹立について、イスラエルが入植活動などで圧迫するパレスチナを巡る問題の解決が先決だとの立場を崩していない。

バイデン氏は大統領に就任した場合、イラン核合意への復帰を目指すと表明済み。イランの核開発を抑制するため同国と米英仏独ロ中の6カ国が2015年にまとめた合意から、トランプ米政権は一方的に離脱した。

イスラエルとサウジは共にイランを安全保障上の脅威とみなす。特にムハンマド皇太子は対イラン強硬派で知られる。ネタニヤフ氏と「共闘」する姿勢をみせ、米国のイラン核合意復帰に反対する姿勢をバイデン氏に示す意図がありそうだ。

ネタニヤフ氏は22日の演説で「(米国が)前の核合意に戻ることがあってはならない。イランが核兵器を開発しないよう妥協なき政策を続けるべきだ」と強調した。

22日の会談には、サウジを訪問していたポンペオ米国務長官が同席したと伝えられた。同氏は19日にはイスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地や、ゴラン高原を訪れた。入植活動を事実上容認し、ゴラン高原にイスラエルの主権を認めたトランプ政権の政策を改めて印象づけた。

ポンペオ氏はその後、米国が仲介してイスラエルと国交を正常化したアラブ首長国連邦(UAE)などを訪れた。同氏の中東歴訪には、トランプ政権の中東外交を既成事実化する狙いが透ける。バイデン氏の政策転換に一定の制限を加えかねない。

バイデン氏はイスラエルの入植活動や、サウジのイエメンへの軍事介入に批判的だ。イスラエル、サウジとも米国に安全保障を頼っている。米国で政権交代があれば、大きな影響を受ける。その不安が接近につながる。

経済面での協力にも双方が関心を抱いている可能性は高い。イスラエルは技術力が強みで、サウジは豊富な石油マネーを投資できる。WSJは米グーグルがサウジとイスラエルを結ぶ光ファイバーネットワークの整備を検討しているとも報じた。

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