エチオピア「72時間以内」降伏を要求 北部州戦闘で
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【カイロ=久門武史、ニューヨーク=吉田圭織】エチオピアのアビー首相は22日、連邦政府軍と戦闘を続ける北部ティグレ州の支配勢力ティグレ人民解放戦線(TPLF)に対し、72時間以内に降伏するよう求めた。連邦政府軍は23日、同州の州都メケレを約50キロの距離をとって包囲し、圧力を強めている。ロイター通信が伝えた。

アビー氏は22日の声明で、TPLFが「メケレを盾にとり、戦場にしている」と批判した。TPLF側の部隊や民兵に対しては「最後の機会だ」と投降を迫る一方、メケレ市民には連邦政府側につくよう要請した。
アビー氏の声明などに対し、TPLFは徹底抗戦の構えを崩していない。TPLFの指導者はAFP通信に「我々の権利を守るため死ぬ準備ができている」と表明した。既にメケレに通じる道路や橋などが破壊されているもようだ。連邦政府によると、TPLFの部隊はティグレ州アクスムの空港を破壊した。
戦闘を逃れようとティグレ州からは隣国スーダンに押し寄せる難民が約4万人に達した。メケレを巡る攻防戦で難民の人数はさらに膨れ上がる恐れがあり、人道危機の悪化が懸念されている。メケレの人口は約50万人という。
国連のグテレス事務総長は24日、声明を出し、ティグレ州を巡る状況に「深い懸念を感じている」と表明した。同国の指導者に民間人の保護、人権の維持と人道的アクセスの保障に向けて全てを尽くすよう訴えた。