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「イエレン財務長官」で財政・金融連携 バイデン氏

(更新)
次期財務長官に起用される見通しのイエレンFRB前議長=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米大統領選で当選が確実となったバイデン前副大統領(民主党)は、財務長官に米連邦準備理事会(FRB)前議長のジャネット・イエレン氏(74)を起用する方針だ。米メディアが報じた。追加の財政出動へ強力な布陣を整え、低金利政策を敷く中央銀行との連携を強める狙いもある。

バイデン陣営は、週内にも財務長官人事を正式発表する。就任には連邦議会上院の承認が必要になる。財務長官は巨額のインフラ投資を軸とするバイデン氏の経済政策「バイデノミクス」を遂行するうえでの最重要ポストだ。FRB議長として十分な実績があるイエレン氏を登用し、経済政策全般の司令塔を委ねる。

イエレン氏はオバマ大統領(当時)の指名で2014年から4年間、女性として初めてFRB議長を務めた。財務長官としても初の女性となる。

クリントン政権(1993~2001年)の時代には、ホワイトハウスのチーフエコノミストである米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務め、経済界・政界ともに深い人脈がある。景気や雇用の立て直しを最優先するバイデン体制にとって、イエレン氏の登用は目玉人事となる。

喫緊の課題は、新型コロナウイルスの追加対策だ。イエレン氏は16日の討論会で「金融政策は既に利下げ余地がなく、財政政策が極めて重要だ」と追加財政出動を求めていた。民主党は2兆~3兆ドル(約210兆~約310兆円)の財政出動案を議会に提示済み。失業給付の積み増し、家計への現金給付なども計画する。米経済は失業対策など公的支援が相次いで切れる「財政の崖」に直面している。景気の失速を回避するには、素早い財政出動が不可欠となる。

FRB議長経験者がホワイトハウスに転じる例は過去にもある。1979年に当時のミラー議長がそのまま財務長官に横滑りした。80年代の「インフレ退治」で知られたボルカー元議長も、オバマ前政権時代にホワイトハウス入りし、金融危機で傷んだ銀行システムの改革役を担った。

バイデン体制がイエレン氏を登用するのは、財政政策と金融政策の連携を一段と強める必要があるためだ。バイデン氏は4年間で2兆ドルという過去最大規模のインフラ投資を公約する。社会保障費などの積み増しも含めれば、歳出増は10年で10兆ドル規模とされ、30年代の「ニューディール政策」以来の大型投資となる。

連邦政府債務は既に27兆ドル弱と国内総生産(GDP)比で130%を超す。長期金利は歴史的な低水準にあるが、ひとたび金利が上昇すれば、連邦政府の利払い負担も跳ね上がって財政悪化は止まらなくなる。「バイデノミクス」の実現には、FRBの低金利政策の維持が不可欠だ。

イエレン氏はFRB議長時代、金融緩和に積極的な「ハト派」として知られてきた。パウエル議長らFRBの現執行部は、イエレン氏の「部下」として仕えたメンバーが多く、財務長官候補に挙げられたブレイナード理事も「ハト派」と評される。トランプ政権はFRBとの摩擦が絶えなかったが、財務長官にイエレン氏が就けば、中央銀行と低金利政策で連携しやすくなる。

バイデン氏は主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)を軸に、国際協調体制の立て直しも目指している。トランプ政権は友好国にも制裁関税を発動するなど、グローバル市場の波乱要素となってきた。イエレン氏は海外の財政当局や中銀のトップとも深い人脈があり、国際金融体制の再構築にも適任だ。

金融政策の「ハト派」はドル安を求めがちだが、イエレン氏の基軸通貨ドルに対する姿勢が今後の一つの焦点となる。

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