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途上国へのワクチン供給、コストやインフラ課題山積み

(更新)
アフリカでは新型コロナの検査態勢も不十分とされる(ケニアの首都ナイロビ)=ロイター

21、22日の20カ国・地域(G20)首脳会議では、新型コロナウイルスのワクチンの公平な供給も焦点となった。パンデミック(世界的大流行)の収束には先進国だけでなく、資金やインフラに乏しい途上国での感染防止対策が欠かせないためだ。

実用化が近づくワクチンは予防効果への期待が高まるが、国際協調の不足、コスト負担や輸送・保管の難しさなど課題が山積している。

世界保健機関(WHO)などが立ち上げた低価格で広くワクチンを普及させる枠組み「COVAX(コバックス)」には187カ国・地域が参加するが、米国やロシアはワクチンの国内開発や囲い込みを優先し、加わっていない。

日米欧の先進国は、自国民向けにワクチンをいち早く確保しようと製薬会社と個別に交渉し、争奪戦を繰り広げた。先進国へのワクチン供給が優先され、COVAX経由の供給は遅れるとの声は多い。インドネシアのジョコ大統領は21日、「ワクチンへのアクセスは公正でなければならない」とくぎを刺した。

中国は10月にCOVAXに参加した一方で、独自の「ワクチン外交」を加速させている。11月18日には自国のメーカーが開発中のワクチンを優先供給する協定をマレーシアと結んだ。広域経済圏構想「一帯一路」に参加する国を中心に、東南アジアやアフリカ諸国に積極的に配分し、影響力を強める思惑も透ける。

習近平(シー・ジンピン)国家主席は21日、中国が独自開発した新型コロナ対策システム「健康コード」の国際的な普及も提案した。健康コードはPCR検査の結果や行動履歴といった膨大な個人情報を当局が握るだけに、中国式の「輸出」は各国世論の反発を呼ぶ可能性もある。

コスト負担の問題も解決には至っていない。COVAXは1回の接種費用を約3.1ドル(約320円)と想定しているが、アフリカやアジアの貧困国はこの価格でも購入が難しい。国連のグテレス事務総長は17日、G20首脳に宛てた書簡を公表し、ワクチンなどを途上国に普及させるには「280億ドル不足している」と追加の資金拠出を呼びかけた。

超低温環境が求められる供給体制の構築も容易ではない。米疾病対策センター(CDC)などによると、早期の実用化が期待される米ファイザーのワクチンはセ氏マイナス60度~80度で、モデルナのワクチンはマイナス20度で最大半年間保管できる。セ氏2度~8度であれば、それぞれ5日と30日となる。

ただ、多くの途上国はワクチンの品質を維持するための物流インフラを整備する余裕はない。国際物流大手のドイツポストDHLグループなどは冷凍保管に対応できるのは25カ国、接種可能人口は25億人にとどまると試算する。(ウィーン=細川倫太郎、大連=渡辺伸、先端医療エディター 高田倫志)

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