感染地域へのGoTo停止 政府、「イート」も制限要請

政府は21日、首相官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、観光需要喚起策「Go To トラベル」事業を一部制限すると決めた。感染拡大地域を目的地とする旅行は新規予約の一時停止を検討するよう都道府県知事に求める。国内の新規感染者は4日連続で2千人を超えた。経済活動と両立を目指してきたが、感染防止の警戒を強める必要があると判断した。
外食需要喚起策「イート」事業についても食事券の新規発行の一時停止や、付与されたポイントの利用を控えるよう呼びかける。
菅義偉首相は経済再生の柱とする「Go To」事業の停止に慎重だった。感染の急拡大を踏まえ、専門家からの警鐘を受けて軌道修正した。
3連休初日を迎えた21日の国内の新規感染者は午後10時時点で新たに2572人確認され、過去最多を更新した。都道府県別では東京(539人)、大阪(415人)、埼玉(173人)、兵庫(150人)などで過去最多を更新した。
首相は対策本部会合で「新規感染者数が過去最多になるなど最大限の警戒状況が続いている」と述べた。「感染拡大が一定レベルに達した地域は都道府県知事と連携し、より強い措置を講じる」と説明した。
利用制限が必要となる具体的な対象地域や開始時期は明言しなかった。近く具体策を示す。
西村康稔経済財政・再生相は21日の記者会見でトラベル事業の予約停止に関し「観光庁が具体的な制度設計を急いでいる。迅速に結論が出る」との見通しを示した。「キャンセル料で取りやめをちゅうちょしないように制度設計してくれると思う」と指摘した。
対象地域の選定については「都道府県知事と感染や病床の状況などを分析し、緊密に連携したい」と述べるにとどめた。
首相は重症化リスクの高い高齢者の感染拡大を防ぐ対策強化も打ち出した。医療施設や介護施設で感染者が出た場合は入所者と従業員全員を検査する。「直ちに国の費用負担で検査を実施する」と話した。
対策本部は食事中に会話する際のマスク着用や手洗い、感染しやすい「3密」の回避など基本的な感染防止策の徹底を求めた。
「Go To トラベル」事業を巡っては専門家による分科会が20日、政府に運用を見直すよう提言した。感染状況の判断に使う4段階の指標のうち2番目に深刻な「ステージ3」に該当する都道府県は「Go To」事業から除外するよう求めていた。
全国知事会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)は21日の政府対策本部の決定を受け「政府の対策に地方も全面的に協力し、この難局を乗り切っていく覚悟だ」とのコメントを発表した。
飯泉氏は「急速な感染拡大へ向かうか否かの重要な局面のただ中にある」と表明した。知事会は23日に緊急対策本部をオンラインで開き「Go To」事業の取り扱いや都道府県間の相互応援体制などを協議する。

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