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FRB、資金供給策を縮小へ バイデン陣営は反発

ムニューシン財務長官(左)とパウエルFRB議長(写真は9月)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は20日、新型コロナウイルス対策として発動した中小企業向けの資金供給策などを、2020年末で打ち切る方針を表明した。トランプ米政権が制度の延長を認めず、FRBに未使用の資金を返還するよう要請したためで、民主党のバイデン陣営は「極めて無責任だ」などと反発した。

FRBは20日、パウエル議長がムニューシン財務長官に宛てた書簡を公表し、一部の資金供給策の打ち切りを表明した。停止するのは(1)中小企業向けの融資(2)社債の購入(3)資産担保証券への資金供給(4)州・地方債の購入――の4つの支援策だ。12月31日が制度の期限で、FRBは財務省に延長を求めていたが、認められなかった。

FRBは3月以降、金融市場や産業界を支援するため、総額で4兆ドル(約415兆円)規模の枠を設けて資金供給してきた。コマーシャルペーパー(CP)の購入など一部の支援策は21年春まで延長するが、12月末で支援規模は2兆ドル程度まで半減する。米経済は失業給付の特例などが失効しており、財政・金融政策の両面でコロナ対策が縮小。目先の景気の不安要素となる。

資金供給を打ち切るのは、ムニューシン財務長官がFRBに必要財源の返還を要請したためだ。新型コロナ対策としての緊急資金供給は、法制度上、米財務長官の承認が必要になる。米財務省は資金供給の財源として4550億ドルをFRBに与えていたが、連邦議会が検討する追加の財政出動に転用するため、資金の返還をパウエル議長に促していた。

大統領選で当選が確実になったバイデン前副大統領(民主)の陣営は強く反発している。FRBの資金供給策が12月末で打ち切りになれば、政権が発足する21年1月20日前後の金融市場が不安定になるリスクがあるためだ。陣営幹部は声明で「米財務省の支援打ち切りは時期尚早だ」などと批判。トランプ政権とバイデン陣営との対立の火種ともなってきた。

FRBが打ち切る4つの資金供給策は、実際には利用が広がっていない。中央銀行が一般企業に資金供給する「メインストリート融資制度」は極めて異例な産業支援として注目されたが、実行額は10月末時点で39億ドルにとどまる。6000億ドルの資金枠を用意したが、融資条件が厳しく敬遠された。州・地方政府の支援も16億ドルと、資金枠(5000億ドル)のごくわずかしか使われていない。

FRBの資金供給が使われないのは、市中金利が大きく低下して、企業や地方政府が市場から必要なマネーを調達できるようになったためだ。米国債に対する米社債の上乗せ金利は、コロナ危機直後に平均4%まで急上昇したが、現在は1%台前半まで低下した。株価も最高値圏にあり、市場環境はコロナ危機前よりも緩和的といえる。

もっとも、市場機能が回復したのは、FRBの巨額の資金供給策による「見せ金効果」で、投資家に安心感が広がったためだ。新型コロナの感染者数は再び急拡大しており、FRBによる安全網が薄くなれば、市場が再び動揺しやすくなる懸念もある。

ムニューシン財務長官はFRBに返還を求めた4550億ドルを、追加の財政出動に転用したい考えだ。共和党の上院トップ、マコネル院内総務も声明で「未使用の資金を活用するのは全く正しい。議会は追加救済策に同資金を充てるべきだ」と表明した。ただ、上下両院は選挙後も与野党対立で混迷したままで、財政出動の議論は止まっている。トランプ政権と連邦議会が追加のコロナ対策を発動できなければ、FRBから戻る巨額の資金はそのまま宙に浮くことになる。

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