シキボウ、一時18%高 抗コロナ加工技術を好感
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20日の東京株式市場で繊維メーカーのシキボウ株が急伸した。一時、前日比182円(18%)高の1190円と、7カ月ぶりの高値をつけた。19日、独自の抗ウイルス加工を施した生地が新型コロナウイルスを減らす効果を確認したと発表し、買い材料となった。売買高は前日の37倍に膨らみ、終値は75円(7%)高の1083円だった。

第三者機関による試験で、抗ウイルス加工技術「フルテクト」を使った生地が新型コロナに効果を持つことを確認。レーヨンの不織布や綿の織物の表面のウイルスが99.9%以上減少する結果を得た。
シキボウはフルテクトを使った生地をアパレルや生活雑貨メーカーに供給し、加工を施したマスクをネット通販サイトなどを通じて売っている。個別の試験が必要となるが「各製品も新型コロナへの効果が期待できる」(同社)という。「話題性にとびついた個人投資家の買いが入ったようだ」と楽天証券の窪田真之氏は指摘する。
アパレル業界の業績不振を受けて、2020年4~9月期の連結純利益は前年同期比75%減の1億3200万円だった。21年3月期通期でも4億円と前期比58%減と予想している。
業績低迷に対する危機感は強く、10日には20年度が最終年度の中期経営計画の凍結を発表。不採算分野からの撤退の検討も明らかにした。「新技術が業績回復への特効薬となる訳ではなく、利益貢献までは時間がかかる可能性がある」(auカブコム証券の河合達憲氏)との声もある。
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