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着物、直線の構成 洋服に影響(古今東西万博考)

1867年・パリ

直線的な裁断など着物の影響を感じさせるウェディング・ドレス(マドレーヌ・ヴィオネ、1922年)(C)京都服飾文化研究財団、リチャード・ホートン撮影

欧州における日本趣味、ジャポニスムの起点となった1867年のパリ万博。印象派など美術の世界でのジャポニスムの影響は有名だが、ファッションの歴史にも足跡が残る。パリ万博では、会場内に設けられた日本家屋で着物姿の芸者3人が日本の日常生活を再現し人気を博した。

ここで欧州の人々は女性たちが着ている美しい服、着物を「発見」。室内着などの形で日常に浸透し、次第にその要素が欧州の服作りに取り込まれていく。服飾研究家の深井晃子さんは著書「きものとジャポニスム」の中でココ・シャネルらとともに現代服の基本形を確立したデザイナー、マドレーヌ・ヴィオネが1922年に制作したウエディング・ドレスを例に挙げる。このドレスは身体の曲線を忠実に再現するような従来の西洋服の作り方とは異なり、帯を思わせる腰回り、直線的、平面的な構成など着物の影響を「直接的なまでに示して」いる。

西欧の女性ファッションは伝統的に「女性らしい」身体の曲線を強調する。19世紀まで、コルセットで締め付けた身体に布を沿わせるように作られ20世紀に入り、より自然に身体を包む現代服に変化していくが、この変化を促した影響源の一つが平面的、直線的に構成され、服自体が身体から離れた「自立した造形性を持つ」着物だったと深井さんは見る。また、この着物が備える「造形性」は世界的に活躍する三宅一生や川久保玲、山本耀司ら日本人デザイナーに共通する考え方であるとも。

現代では日本人の日常からやや遠ざかっている着物だが、実は19世紀の万博を通じて西欧ファッションと出会って影響を残し、現在の洋服にもその要素が生きているのだ。

(佐藤洋輔)

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