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川辺川ダム容認、10年費やすも「脱ダム」ならず

国の計画での川辺川ダム建設による水没予定地周辺(17日、熊本県五木村)=共同

熊本県の蒲島郁夫知事は19日、球磨川流域の治水対策のため、最大の支流である川辺川にダムを建設することを容認した。環境負荷が低いとされる「流水型」ダムの建設を国に求める。

7月の豪雨で球磨川が氾濫して多くの死者・行方不明者を出し、家屋なども浸水被害を受けた。「脱ダム」実現へ約10年を費やし協議してきたが、適切な方策がまとまらず方針転換した。

同日の県議会全員協議会で、蒲島氏は容認の理由について「現在の民意は、命と環境の両立だと受け止めた」と説明。流水型ダムの建設を国に要望する一方、多目的ダムを建設する既存の国の計画廃止を求めるとした。20日には赤羽一嘉国土交通相と会談する予定だ。

蒲島氏は2008年に流域住民の強い反対もあって「ダムによらない治水」を打ち出し、川辺川ダムの白紙撤回を表明した。翌09年には当時の民主党政権が建設中止を決定した。その後、国や流域自治体などと、ダム以外の治水対策を協議した。

遊水池を造るなど複数の案を組み合わせての実施を検討したが、事業が概算で1兆円を超えるものや、期間が50年以上かかるなど関係者の意見がまとまらない中、今回の豪雨で大きな被害が出た。

蒲島氏が求める流水型ダムは平常時は水をためず、ダム堤体の下部にある穴から下流に流し、増水時は水量を調整できる治水専用のダムだ。しかし国は治水のほか、すでに関連団体が事業から撤退した農業用水や発電なども目的とする多目的ダムとする当初の計画を変えていない。10月には多目的の川辺川ダムがあれば、同県人吉市の浸水範囲が推定で約6割減少すると公表していた。

流水型ダムによって球磨川の自然環境を守りたいとする蒲島氏の意向を反映させるには国との調整が必要で、時間がかかる可能性もある。蒲島氏は同時に、環境アセスメントの実施も国に求めるとした。

県はダム容認と併せ、浸水の危険がある地域からの移転や避難体制の強化など「流域治水」と呼ぶ、ハードとソフトを組み合わせた治水対策を国や流域自治体と進める。県有識者会議(座長・五百旗頭真兵庫県立大理事長)が打ち出した復興への提言を踏まえ、復旧・復興プランを策定していく方針だ。

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